地震に強い家、耐震等級〇〇相当…相当って何? | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

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2023.04.08

地震に強い家、耐震等級〇〇相当…相当って何?

一級建築士の八木です。

今回は「耐震等級〇〇相当」についてお話しするのですが、その前にまずは耐震等級についてご説明します。

耐震等級なんぞや!

耐震等級とは、建築物が地震に対してどの程度耐えられるかを示す指標のことです。日本では、建築基準法によって耐震等級が定められており、耐震等級によって建築物の耐震性能が分類されます。

耐震等級には、耐震等級1〜3までの3つの等級があります。耐震等級1は最も基準が低く、耐震等級3は最も基準が高いとされています。

■耐震等級1

数百年に一度程度の地震(震度6強型~7程度=阪神・淡路大震災クラスの揺れ)に対しても倒壊や崩壊しない。
数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度。

■耐震等級2

耐震等級1の、1.25倍の地震に耐えられる性能・耐震強度の水準です。

また災害時の避難所として指定される学校などの公共施設は、耐震等級2以上の強度を持つことが必須です。

■耐震等級3

耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震強度があることを示しています。

「長期優良住宅」は、耐震等級2以上が認定の条件でしたが、令和4年秋から耐震等級3に引き上げられました。


耐震等級の中で最も高いレベルであり、災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署などは、その多くが耐震等級3で建設されています。

耐震等級〇相当とはなんぞや?

一つ気を付けていただきたいポイントがあります。
耐震等級3“相当”と、耐震等級3は以下のようにわける事ができます。

①耐震等級3相当 

壁量計算(地震や台風に対して有効な耐力壁や壁の量や配置などを簡易的な計算で確かめる計算)で
壁量のみ耐震等級1の1.5倍としている。

②耐震等級3相当

許容応力度計算(構造計算)で①と同じ耐震等級3相当の表記になりますが、壁量計算よりも厳密に計算する方法で荷重や地震に対して柱や梁などが十分に耐えられるかどうかを細部まで計算する方法です。※下図参照。

③耐震等級3

許容応力度計算(構造計算)で耐震等級3+指定検査機関の証明

①②ともに耐震等級3相当でも『壁量計算で計画した耐震等級3』と『許容応力度計算(構造計算)で計画した耐震等級3』では全く別物になるということです。
①は耐震等級3っぽい家、②は耐震等級3に匹敵するが検査機関の証明を受けていないものです。

構造計算(許容応力度計算)とは

難しい話ですみません。なので図解でご覧ください。

許容応力度計算(構造計算)は建築基準法では義務化されていない事や、計算にコストがかかることで行っていない建設会社も多数あります。
しかし、より確実で安全・安心いただける耐震性能を得るためには、常に行うべきと考えています。

地震に対する耐震性能

過去、阪神淡路大震災がありました。
高速道路が倒れたり、駅前のビルが倒壊したりと、被害は甚大でした。
住宅業界では、新耐震基準で建てられた多くの建物は、致命的な被害を逃れたことでクローズアップされました。

よって、「新耐震基準の建物は、地震に対し一定の効果がある!」と認知が広がり
「旧耐震」の建築物なのか、「新耐震」の建築物なのかは、耐震性の大きな目安となりました。

2000年基準

この「新耐震基準」は地耐力に合わせた基礎形状を明確にするために
2000年から”地盤調査等の義務化”がはじまりました。

また耐震壁の配置バランスも義務化され
柱・梁・筋交いなどの接合方法が明確に定められました。

これは地震などの外部作用によって、柱脚部が土台から外れたり
柱から梁がひきぬかれたりするのを防止するための規定です。

この2000年の告示以降の建物が、通称「2000年基準」と呼ばれています。

熊本地震

ところが、2016年の熊本地震の際、阪神淡路大震災では効果が認められていた「新耐震基準」さらに「2000年基準」で建てられた家まで倒壊しました。

なぜか。熊本地震が震度7の揺れが2回発生したことも大きな原因と言われています。
一回目の前震では耐えたものの二回目の本震で倒壊した建物も多かったからです。
2000年基準では単発の大きな地震には耐えられる設計でも、”繰り返される大きな揺れは想定外”だったわけです。

さらに熊本地震で衝撃的だったのは、現行の義務基準である「耐震等級2」の住宅が倒壊してしまったという事実です。

おさらいですが、耐震等級2は「震度6強~7程度=阪神・淡路大震災クラスの揺れ」に対しても倒壊や崩壊しない「耐震等級1」の「1.25倍の強度」を指します。

ちなみに「倒壊」とは生存空間がなくなるほど潰れた状態を指します。

まとめ

熊本地震のような震災が幾度も発生するわけでもありませんが、やはり可能な限り耐震等級は3を目指したほうが良いと思います。
また耐震等級2相当、3相当は、耐震等級2,3とは全く別物です。
「相当」は「そんな感じ」程度の意味合いです。
構造計算(許容応力度計算)は是非行ってください。

ちなみに長期優良住宅認定を受けた耐震等級3より、構造計算(許容応力度計算)を実施した耐震等級2相当のほうが、実は耐震性が高いといった計算データもあります。詳しくはまた今度。

一級建築士の八木からの提案でした。