|上手な狭小地の売り方 | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

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2023.05.22

|上手な狭小地の売り方

このブログは業界歴30年の宅地建物取引士が執筆しています。

 狭小地の定義

狭小地の大きさの定義が曖昧で、地域によっても違いますが、一般的に10-20坪くらいでしょうか。
おおよそ30㎡から60㎡台です。

敷地の間口と奥行が均一な整形地もありますが、狭小ゆえに少しの不整形でも、不整形部分が目立ってしまうのも特徴です。
ただ狭小地が多い住宅地は、1970年代にマンション開発が始まるより前に、利便性の高い人口密集地に点在しています。
ゆえに、その利便性の高さから、売主は売却前の事前準備をしっかり行うことで、想定より高額で成約できることがあります。

今日はそのあたりの解説をしていきます。

 売主こそ「測量」を重視しよう

測量を怠らない

先ほど説明したように、狭小地は人口密集地に点在することから、隣地との境界線が曖昧になりがちです。
曖昧だと、購入者は自分たちが購入して建築対象として利用できる敷地も曖昧になります。


すると建築会社は、あまり積極的に敷地に対して建物面積を検討できません。

敷地が50㎡なら ”最大100㎡の建物面積・3階建” が実現できる土地であっても、「もしかしたら実際敷地は50㎡満たないかもしれないから、安全を見て90㎡くらいの建物で計画しておこう。」となります。


こんな具合に、曖昧な境界の敷地は、建ぺい率・容積率・道路斜線・隣地斜線・北側斜線・天空率・民法など、幾重にも重なる法規制の、あらゆる場面で安全側で計画を繰り返すこととなり、
想像以上に消極的な家しか検討できなくなり、これでは敷地の能力を使いきれなくなり、それが売買価格にも悪く反映されていきます。

確定測量をするとどうなる?

確定測量とは隣地の立ち合いを経て、接境する筆界線(隣地と本敷地を分ける線)を明確にする行為です。

お互いに印鑑証明も添えて法的にも所有権利を明確にできます。
売主にとってのメリットは以下の3つです。

 売主が「測量」するメリット

メリット1

敷地の形状・方位・高低差(GL:グランドレベル)が明確になり、あらゆる建築計画は曖昧ではなく、正確な数値の上で行えるようになります。

その結果、敷地に対し法的に認められる最大限のプランニングが可能となるので、より良い利活用の計画が購入サイドで可能となります。

購入検討者は安心して購入できるだけにとどまらず、土地の魅力が最大限伝わることで、より良い条件で売却が可能となります。

メリット2

筆界線が明確になると、越境している個所が明確になります。

こちらが越境させているもの、相手が越境しているもの、これが明確になると
例えば「お互いに将来、建替えするときは越境しないよう計画しましょう。」とか
「狭いので将来も互いに越境利用しましょう。」など、取扱いを書面で明確にできます。

これは購入者にとってわかりやすく、購入時の不安払しょくに繋がります。

メリット3

建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない
とする民法234条がありますが、狭小地の場合、この確保を前提とすると、建物の利用勝手が悪くなることがあります。

そんな場合、「民法234条に関わらず、隣地の方と互いに30センチメートル空けて再建築しましょう」との合意文章でルールを決めることが可能です。

互いに30センチ、合計60センチあると将来、足場を組んで外壁補修や塗装など行いたい時に実施できるスケールになります。

「そんなことは買主側でやればよいのでは」との声が聞こえてきそうですね。

ですが、そこは隣地にとっては新参者の購入者より旧知の売主相手のほうがスムーズに合意文章が交わしやすいものですし、結果、購入者にとっても魅力が増す土地となって価格に転嫁されます。

このような合意文章をつくるためにも確定測量をしておくとが前提となります。

 住宅ローンの事前準備を

売主側でローンの斡旋をしよう!というわけではありません。
実は、狭小地は、住宅ローンを利用できる金融機関が絞られています。

たとえば、住宅ローンを組む際に、銀行が融資条件に土地面積40㎡以上とあったりします。
しかし40㎡未満でも融資可能な金融機関もあります。

事前に「どこの金融機関で融資をつけるのか」の検討をしておかないと、実際購入検討者が現れた際に手間取ってしまい、購入検討者は「融資対象にならない良くない土地なのかしら」と購入を断念してしまいます。

利便性の高いエリアが狭小地には多いので、その意味では融資適格な不動産として、積極的に取組む金融機関がありますが

その一方で、狭小地に消極的な金融機関のモノサシでは融資対象から外れてしまいます。

このように準備を怠ると購入者サイドの印象悪化は避けられません。もし売主が、仲介会社・コンサルティングに販売依頼する場合は、融資先を売主側にも示してもらって販売活動を開始するようお願いしましょう。

 売主側でも新築のプランニングを!

それこそ、購入検討する買主側が新築プランをして貰えばよいのでしょ! と感じたのではないでしょうか。

買主の個別事情やライフスタイルを反映したプランニングはもちろん、買主自身が行えばよいと思います。
さきほど説明した銀行と同じように、狭小地は積極的に取り組む工務店と、消極的な工務店やハウスメーカーがあります。

狭小地の購入検討者が、たまたま狭小地が不得意なハウスメーカーと話をしていた場合、期待したようなプランが出てこないばかりか、購入検討を止めるよう促す工務店・ハウスメーカーさえあります。

逆に狭小地を得意としたハウスメーカーや工務店だと、期待以上のプランニングが完成して敷地の魅力が増すこと請け合いです。

プランの予算も出しておく

このように購入者の参考資料として、不動産仲介会社を通し、予め狭小住宅が得意な建設会社のプランを準備しておくと、狭小地の魅力がさらにUPすることがあります。

なお、できればプランだけでなく建築価格も一緒に提出してもらっているほうが、購入者には理解しやすいです。

プランは良いが価格が高すぎるメーカーもありますから、購入者目線では ”プランと予算は両軸” です。

 狭小地の魅力

利便性の割に価格が安いことです。

購入する側からすると、土地面積が小さいので相対的に土地取得費が安くすみます。

生活空間の確保は必須ですが、建物自体もそれほど大きくないので、固定資産税や昨今高騰している電気代やガス代・維持管理の費用などが抑えられます。

また利便性の高さから、店舗や賃貸住宅としてのニーズがあるケースもありますし、少子化での家族構成の少人数化、シンプルライフやミニマリズムの考え方をされる方が多く、必要にして十分な住宅を求められる方が増えており、都市型の狭小地ニーズは高まっています。

 上手な狭小地の売り方

利便性や価格の魅力があっても、以下のポイントを買主側の目線を意識して、しっかり売主側が用意することで、上手く早く、狭小地を売却することができます。

① 確定測量を実施する

② 融資してくれる金融機関を確認する

③ 狭小地が得意な工務店・メーカーのプランと建築工事代金を用意しておく

そして、この3つを準備するためには、不動産仲介会社との連携が大切です。

弊社には一級建築士スタッフが、狭小地を生かしたプランと、建築予算をおさえた工務店・ハウスメーカーの選定をお手伝い出来ます。

お気軽にご相談ください。

「こことち」を始めた理由

改めまして、私は「こことち」を運営するBLOSSOMDESIGN株式会社の代表、中濱整啓です。これまでの経歴を紹介しますと、20代~30代は年間5,500件程度の仲介を行う、いわゆる不動産屋さんのエリア母店長を歴任し、その後40代には、年間160億円ほどの住宅建設に携わる建築設計企業で、執行役員(本部長)を経験してきました。

不動産・建築業界に長らく身を置いてきましたが、業界の現状には大きな疑問を感じています。それは業界の利益を優先した取引慣例、売上至上主義のビジネスモデルです。

「こことち」は、全員が納得し、双方の利益を最大化することを目指しています。私が「こことち」を始めるに至った経緯を読んでいただけますと幸いです。

不動産業界の現実

残念ながら大手・中小問わず、悪徳仲介業者が少なからず存在します。彼らは自分たちの利益を追求するあまり、顧客が本来得ることができた利益を遵法で搾取しています。搾取しているからこそ、手厚い表面的なサービスにより顧客は満足度は高く、問題は表面化し辛くなっています。

アメリカで見つけた理想

私は30代半ばに、米国・サンフランシスコへ研修の機会を頂きました。そこで、米国の不動産取引の慣習や現状を見るにつけ、衝撃を受けました。米国では、売主専門のエージェント(担当)と買主専門のそれが各々存在し、各々が顧客の利益を最大化し、リスクを最小化するために動いていました。
売主と買主は利益相反する。どちらかにとって得なことは相手にとって損失になりうる。であるからこそ、売主のための専任担当、買主のための専任担当という明確な役割分担があり、公正な取引が実現されていたのです。「売主・買主の双方から直接依頼を受けるなど考えられない」と当時米エージェントが答えていたのが忘れられません。

日本の不動産流通

ところが日本の不動産業界は、この双方からの直接依頼が「両手仲介」との呼称で、当然のごとくまかり通っています。何度も言いますが不動産は本質的に、売主・買主が利益相反の関係です。また今日の日本での仲介制度では売主と仲介会社も利益相反の関係になっています。

高く売りたい売主、安く買いたい買主。そして手数料を大きくしたい仲介会社。
このトライアングルの中で、売主と買主の要望実態を握っているのは契約するまでは仲介会社だけ。そのため、不動産屋は手数料の最大化を一番重視しながら、売主さま・買主さまの双方にとっての妥結だけを狙った対応になってしまうことが少なくありません。

結果既得権をもった資本力のある企業が、広告宣伝費をかけ、ブランドを醸成して、安心感を抱いた不動産取引において情報弱者である顧客に対して、遵法としながらも搾取することを商慣習としています。

日本には日本の法制度があり、慣習があるため、米国の制度はそのまま利用できません。一時、民主党政権下では、この両手仲介を禁止にしようとするマニフェストが確かありましたが、いつのまにやらロビー活動によって消滅した記憶もあります。

こことち開発に至った想い

日本の法制度において、仲介会社は仲介手数料を多く得られる方法を優先して取引を操作しています。この操作を回避するためには、いっそ売主・買主が直接出会えればよいのではないか。ましてや今日のWEB・SNS・IT技術をもってすれば、コストも抑えて売主・買主が直接出会えるのではないか。
そこには手厚い担当者の伴奏はないかも知れない、自分で相手とコミュニケーションをとる面倒を感じるかも知れない。ですが生み出される結果こそが、売主・買主双方が満足できる取引が実現できるのではないでしょうか。
正義感とか、そんなものではなく、自分が売主なら、買主なら、そんな手数料利益を優先する仲介制度は、手間がかかっても利用したくない。そんな想いから開発に至りました。

「脱不動産屋」により、売りたい、買いたいの意思が直接WEB上で出会えて、相手が見つかったら、不動産取引のプロに、安全な取引のための適正な評価に入ってもらい、取引を成立させてもらえばよい。

誰もが納得できる不動産取引を

そんな想いから、私は新しいサービス「こことち」を立ち上げました。「こことち」は、不動産仲介業者を介さずにお客様同士で直接不動産売買ができるプラットフォームです。手数料の最大化を重視する仲介会社による斡旋対応を回避できれば、もしかすると数千万高く売れる事も、倍の値段で売れる事も、過去見てきた景色の中では可能性が大いにあります。

またWEB・SNS・IT技術はコスト削減をもたらし損益分岐も下げ、取引手数料の削減も可能となります。

今あるレガシーな取引を全て否定するつもりはありません。顧客ファーストな想いで活動されている会社もたくさんあります。ただ選択肢として、直接出会うのもありではないか? 既存の仲介制度を利用しながら、「こことち」でも探す。そんな新たなマーケットを作ってみたいと思いました。

正解は人それぞれだと思います。ですが「こことち」は、いままでになかった不動産取引の新しいカタチを実現します。ぜひ「こことち」をご登録してください。