不動産業界歴は30年。そして注文住宅の土地探しを最近10年やってきました。
注文住宅は工程が多いです。
土地探し・土地購入・建築計画・工事契約・工事期間・マイホーム完成!
このような一連のお手伝いしてきた、たいへんな10年であり
どれも私自身が住みたくなるような、素敵な家がお引き渡しできた10年でした。
が、やはり失敗談・残念な事例もあります。
今回、失敗にまつわるポイントを3つ、
これから注文住宅を検討する方々の一助になればと執筆します。
Contents
建築法令を知らぬパートナーと突き進む
《土地には様々な法令による制限(条件)がある》
建ぺい率・容積率、斜線制限・天空率などなど、守らないといけない法制限が多数あります。
これらを3次元で組み合わせた制限空間の中で建物計画をするわけですが、私自身、このみち30年住宅業界に携わっても、頭の中でイメージを展開するのは難しいです。
施主様の生活をイメージして、その立体的な制限空間に盛り込み、かつ魅力的な建物のデザインや、構造・予算を同時に意識した建物イメージを組み立てなければならないわけですが
では、設計士業に携わっていない人が安易にプランニングするとどうなるのか…
法制限に抵触した図面を提案したり
おかしなところで部屋が切り取られたり、屋根勾配が発生したり。
不格好な建物になるだけでなく、建物構造にも負担をかけてしまうこと、うけあいなのです。
お医者さまでない人が、医者のように振舞ってはダメ・事故のモト、ということです。
《注意してほしいこと》
①施主さま自身だけで、建物イメージを作ってしまわないこと。
②土地を紹介してくれる仲介担当者は設計士ではありません。
建築に責任も伴わない仲介の営業担当者に建物のことを頼らないこと。
③何より、設計士の見立てがない状態で、土地購入を決めてしまわないこと。
一般の方でも少しWEB検索すれば理解できる法制限もあります。
しかし立体的に家のカタチをアウトプットするには、やはり専門の設計士に頼るべきだと思います。
場所の特徴を知る
必ずしっかり現地を見てください。
できれば時間帯(昼間と夜)や曜日(平日と休日)など、いろんな時間帯に現地確認しましょう。
《生活環境を知る》
昼間と夜を確認することで、街灯・近隣住宅の門灯の様子がわかります。
夜道の雰囲気が悪くないか、許容できるかは確認が大切です。
また近隣の生活の様子を知ることで、施主様の生活イメージにあっているのか、実はとても大切なポイントとなります。
《目で見て判る! 課題の確認》
・隣地との境界は明瞭か
(隣地と該当地の境界にブロック塀や、境界プレートなど設置してあるか)
・隣地からの越境物がないか
(隣の家の屋根や、物置、そのほか構造物が飛び出していないか)
・高低差が周囲とないか
(道路と敷地の高低差、隣接する敷地と高低差、そして高低差の作りに着目する)
まずは購入者自身で現地に行き、その街の雰囲気を肌で感じることが重要です。
感じ方は人それぞれなので、ある人は気に入っても、ある人には違和感を覚える時があります。
現地の雰囲気を体感することはとても大切です。
《不鮮明な境界》
また境界が不鮮明な場所は理由があって不鮮明な時があります。
買ってから近隣のトラブルに巻き込まれることもあります。
越境は一瞬見ただけでは判りにくいですから、目を皿のようにして現地を観察すると見えてきます!
越境は融資にも悪影響となる時があります。
高低差は道路側にあるとすぐ気が付きますが、敷地の奥に合ったり、古家が残っていたりすると気が付かないときがあります。
現地で認識が持てないまま契約書に記述があっても、認識不足で話が進み、途中で思わぬ出費に巻き込まれることがあります。
《目視できない課題の確認》
・地中に隣地の越境物がないか
(上下水の配管・ガス管・隣地建物の地中構造物など)
・ライフラインはどうなっているのか
(上下水の前面道路の本管・本管から売地に引き込まれている管の材質やサイズ)
住宅地によっては、敷地内にある上下水の埋設管が供用されているときがあります。
これは当時は認可された施工方法でも、現在新築をするなら全部やり直さないといけません。
また敷地の前面道路に敷設されている上下水の引込管は、既存のものが利用できないときもあります。
これらが問題が合わさってくると50万程度の埋設管工事負担で済むときもあれば、400万程度かかってしまう時もあります。
不動産仲介会社の説明では「売り土地のケースだと〇〇万」と明確に提示する必要がないため、不明瞭のままです。
どうすれば回避できる?
このように、目視できない問題は施主さま自身の認識が弱くなります。
不動産を紹介する仲介会社に全てを任せると、説明義務のない部分もあり、工事側の話なので正確な情報は提供してくれません。
どうすれば良いのか
- 建築工事を依頼する予定の工務店やハウスメーカーの意見を聞く
- 相談している設計士の意見を聞く
- もちろん不動産仲介会社の意見を聞く
建設・設計・不動産仲介は、おのおの法的な専門領域があります。
施主さまは、この各々の専門家と携わって注文住宅を完成させるわけですから、土地を購入する前から、この3分野の意見を聴ける状況を作って頂くのが一番だと思います。
つまり、土地購入前から、依頼する可能性のある工務店、設計士、仲介会社と接触して、知識をふやすことで課題解決につながります。
私たちに依頼をしてくださるお客様で、想定外の費用や甚だしいスケジュール遅延に見舞われる方は、やはり土地購入前には仲介会社との接触しかないケースが多く、前もって専門家に相談していただいてたら解決できたケースもあります。
判断のタイミング
土地を探していると、どのタイミングかで、惹かれる土地が見つかります。
その場合、検討されている他者が必ずといっていいほど存在します。
だから「エイヤー」で購入しては失敗するかもしれませんし、逆に不安すぎて悩んでいるうちに他者が購入申込してしまい、逃してしまうケースもあります。
一生に一度の大イベント、にも関わらず必要な不動産・建築・設計計画の知見は乏しく、不安なことが多いと思います。
そんな不安を払しょくするには、とにかく早めに設計・建築の専門家にも合わせて相談することです。
できること、
できないこと、
これが見えてくると大きな安心につながります。
その結果、購入すべき土地が見つかった時の瞬発力が格段に上がって、気に入った土地を確実に手に入れやすくなります。
まとめ
結婚・出産・入園・入学。
イベントが夫婦のストーリーに刻まれるにつれ、家族の棲家としてマイホームを持ちたい!
と夢が膨らむのではないでしょうか。
かくゆう私も、そうしてマイホームを手に入れた一人です。
マイホームには、新築マンション、中古マンション、中古一戸建、新築分譲、注文住宅など選択があります。
予算や生活スタイルによって選んでいくのが一般的です。
今回は、そんな選択肢の中でも「注文住宅」にクローズアップしてみました。
注文住宅の計画は、土地探し・建築計画・施工計画が三位一体です。
スタート時点から相談できる三者をパートナーとして選定してください。
選定=契約ではありません。
選定してから、”ワンピース“みたいな仲間として「マイホーム完成」を目指して共に旅しますが、
予算を含めた全体像として依頼したい相手ではない限り、途中で断りをいれることは何も問題がありません。
何より、施主さまが安心して建築計画ができる環境を担うのが私たち専門家の役割と心得ています。
最近はWEBの土地を夫婦だけで判断して、最後に取扱する仲介会社に依頼して土地契約に至る方もいらっしゃいます。
特に土地購入エリアが地元だとか、その土地に詳しいとその傾向があります。
そうならないよう、WEBでの土地検索と並行して、不動産・設計・施工のパートナーを見つけて、安全なマイホーム計画を進めていただければと思います。