上手な旗竿地の売り方 | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

BLOG

2023.06.12

上手な旗竿地の売り方

旗竿地って何?

旗竿地は、道路に面した細い通路状敷地の奥に、家を建てるメインの敷地がある形状の土地の呼称です。

細い通路部分を「竿(さお)」。メイン敷地を「旗(はた)」
と言い、空から見た時の敷地形状が「旗と竿」に見立てられるため、昔からこのような呼び名がついています。


奥まった敷地で四角でもないため、整形地に比べれば売りにくいと言われることが多いのかもしれませんが、旗竿地の状況を理解することが上手な売り方につながります。

旗竿地は都市部で多く見受けられます。
都市部では土地の価格が高いため、土地を売りやすい大きさに分筆して販売されるケースがあり、その際に旗竿地が生まれます。

従って、比較的に「駅から近い」「生活施設が徒歩圏で充実している」土地が、整形地より安く買える。まずこの点が最大のメリットになります。

それに敷地形状から、周りに住戸があるため、静かな住環境を確保しやすい土地であることが多いです。

 ◎旗竿地と整形地、購入者はどう見ている?

旗竿地が実際の売買の現場ではどのように取引しているのか、ご紹介します。
まずは、旗竿地と整形地を比較した購入者の反応を一覧にしてみました。

レイアウト(駐車場などの配置)

車を駐車する際は車幅ギリギリになることが多く、隣家との間の壁や塀にぶつけるとトラブルに発展することもあります。


駐車している車の横を人や自転車が通ると車に傷をつけたり、服を汚したりする事もあります。

車を2台以上停める場合は縦列になるので、出し入れの面倒もあります。

そして進入路の「竿」部分が駐車場・駐輪スペースに限定され、エントランスや余白のレイアウトなど、配置しにくいことがあります。

建築上の制限

また建築上の制限もあります。例えば3階建を建設する場合には以下の通りです。

【 旗竿地で3階建ての建物を計画するときは、代替進入口の設置が必要 】
・道から直接目視できる位置に代替進入口、もしくはバルコニーがあること
・道路境界線から20m以内に代替進入口(バルコニー可)が設置されていること

この制限によって、実務ではリビングの位置が限定されたり、間取りレイアウトが思ったとおりにはできないことがあります。

建物外観の演出

また建物が道路側から見えないことが多いので、マイホームを建てた満足感というのか、自邸の外観にこだわりを持ちたい購入者には物足りなく感じられます。

コスト(建築コスト)

そして案外、建築コストも余分に必要となります。


道路から奥まって建物があるため、道路から建物内部に引込む給排水管の距離が延びるのがその原因の一つです。

また古家がある場合には建物解体のときに大型重機が入らなかったり、大型トラックが解体家屋に横づけできないため手作業が増え作業員の人件費が余分にかかることもあります。

そのため費用が増額したり、同様の理由で建築の際も割増しになることがあります。

陽当たり通風、防犯

そして旗竿地は4方向が、建物に囲まれる場合があるので、解放感や陽当たりを求めたい居室や、特に長時間、家族があつまるリビングに、思うような日照や解放感を得られない場合があります。

また囲まれることで死角が多く、防犯面に不安をもつ購入検討者もいらっしゃいます。

売りやすい旗竿地と売りにくい旗竿地:特徴

売りやすい旗竿地

ここまで説明したようなレイアウト・間取り・陽当たりや通風・防犯などの不安を払しょくできる場合は旗竿地の場合でも有利に販売が可能です。いくつか見てみましょう。

① メリットのある特徴
② 竿部分(敷地延長部分)の間口が広い
③ 陽当たりや通風がよいプランニングができている
④ プライバシーや防犯対策が施されている

①の「メリットのある特徴」とは、四方囲まれる場合が多い旗竿地ですが、例えば一方が開けていて眺望が良い場合(海が見えるなど)・景色の良い河川があり開けている場合など、旗竿地であってもメリットがある場合を指します。

②は「竿」部分の幅に余裕がある土地です。通路・車庫がその竿幅でも十分確保されており、解体・建設工事の際には重機が奥まで入る余裕がある場合です。

あくまで①②は土地そのもの、素材によるものですが、③④については工夫次第で整形地以上の魅力を購入者に提供することができます。

売りにくい旗竿地

竿部分が狭かったり、建築制限を受けたりなど、旗竿地のデメリットを払しょくできない特徴を備えています。

❶ 接道義務を満たしておらず再建築不可である
❷ 竿部分(敷地延長部分)の間口が狭い
❸ 四方建物に囲まれている

❶の再建築できない場合は、かなり整形地に比べれば売りにくくなります。

再建築不可の不動産については別のブログで対策をご紹介したいと思います。


❷❸についても売りにくいことには変わりありませんが、「売りやすい旗竿地」で見たように、❷❸であったとしても、陽当たりや通風がよいプランニング・プライバシーや防犯対策が施されたプランニングなど、工夫次第では魅力を伝えることは可能です!


ここからが本題! 
ここまで読み進めていただくと、しっかりとした対策により不動産価値を正しく購入者に示せる部分があったかと思います。
③ 陽当たりや通風がよいプランニングができている。
④ プライバシーや防犯対策が施されている。
の部分です。

旗竿地の上手な売り方とは

旗竿地を上手に売るには

1)測量を入れる
2)不動産・建築計画のプロに現地を理解してもらう
3)陽当たり・通風・プライバシー・防犯に配慮した優れたプランを用意する
4)できれば3)プランの敷地配置図・間取り図およびパース画像を用意する
この4点をしっかりおさえましょう。

購入検討者に正しく、そして魅力を伝えるためには、この2)3)4)の手順がとても重要となります。

そしてこの手順をしっかり実現するためには、土地の形状や寸法が正確に判っている事が第一歩ですので1)が重要となります。

「自分は売主だから、プランは買主が考えたらよい。測量は費用もかかるし購入者が決まってから実施したらよい。いや購入者が購入後にやったらいい」との考えは、売主自ら不動産の価値を下げていることになってしまいます。

以前「天皇の料理番」というドラマの中で、こんな台詞がありました。
「一番良い食材を毎日手に入れることは難しい。だが丹念な鍋洗いを毎日すれば一番コンディションの良い鍋は用意できる。丹念な鍋洗いは料理人の真心(まごころ)なんだ」
といったような台詞を小林薫さんが演じる料理長が、雑用をこなす新人シェフ役の佐藤健さんに伝えていて感動しました。
そして私たち専門家は、旗竿地という素材の魅力を伝えるために陽当たり・通風・プライバシー・防犯など、その場所ならではの魅力を見つけ準備(プランニング)する。
それが丹念な鍋洗いと同様、わたしたち不動産会社・建築の真心(まごころ)だと思います。

購入者が望む土地とは


不動産を購入するには多額のお金が必要です。
そして消耗品ではなく資産・財産として意識されています。


そうすると ”値上がりするであろう不動産” を選ぼうとして、周囲の評価や人気を重視して選択することが多くなります。


具体的に土地で言えば、だれもが ”NICE!”と感じる不動産とは

〇駅近
〇広い道路幅にゆったり間口
〇陽当たり・通風が良い
〇周囲にも素敵な家が立ち並ぶ

〇生活利便性が高い

。。。そんな住宅地を購入検討者の誰もが求めています。

こんな購入検討者は、資産価値が落ちないところを重視するも、家庭のサイフ事情にあわせて優先順位をつけて取捨選択していきます。

良い言い方をすれば「選択」ですし、ネガティブに言うと「がまん」となります。
そして実際、それが「不動産選び」なのです。

家づくりの「がまん」を具体的に見てみましょう。

購入者 3つの「がまん」方法


1 場所を我慢する ⇒ 建てたい家を優先する(注文住宅志向)
2 建物を我慢する ⇒ 低予算の建売住宅を選び、場所を優先する
3 土地を我慢する ⇒ 旗竿地・変形地・狭小地で「場所と建物」の両方を実現

実際は、もっといくつも枝分かれがありますが、要約すると上記の3つです。土地を我慢する。がちょっと判りにくいかも知れませんので捕捉しますと、場所(エリア)は変えたくないし注文住宅を建てたい(建売住宅がイヤ)、でも整形地を買おうとすると予算オーバーといった際の選択肢で、旗竿地・不整形地・狭小地を選ぶことで、場所(エリア)と建物を実現するタイプのお客様です。(もちろん、一切がまんが必要のない所得・資金層の方もいらっしゃいますが)

「がまん」で選ばれる旗竿地? それとも積極的に選ばれる旗竿地?

旗竿地は決して売りにくいのではなく、購入検討者にとっては判りにくいのです。
つまり、購入検討者は自身の条件やウォンツにどう合致するか、それがわかりにくいのです。
旗竿地という敷地形状から、建物イメージ・通路部分の利用方法が、整形地比べるとイメージがしにくいわけです。

消去法で、妥協で選ばれることがないように、わかりやすく「見える化」すること。
結果その魅力が購入者にとても伝わりやすくなります。

旗竿地を売却しようと考える際には、単に敷地形状だけを掲載するような仲介会社に相談されるのではなく、魅力的なプランニング・間取り・パースなど、トータルを準備してくれる不動産会社にご相談されることをお勧めします。

旗竿地だからこそできる魅力的なプランを

旗竿地は、通路(竿)があるという制約だけでなく周辺の建物の制約も受けます。
しかし、その制約の中でも必ず活かせる部分があり、そこを最大限活用することを考えれば、メリットに変わり魅力となります。

建売住宅や企画型注文住宅のような「カタどおり」のプランではなく、そこにある土地から感じた長所を専門家が考察すると、購入検討者がライフスタイルを重ね合わせたくなるような素敵なプランニングも可能となります