43条但し書き道路の土地を売りたい | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

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2023.06.16

43条但し書き道路の土地を売りたい

 道路なの?道路じゃないの?

「建て替え出来ない土地」
「再建築できない道だから価格が下がる」
といった話をたまに聞くと思います。

建築基準法では、緊急車両の進入経路を確保し、人の安全を守るために、建築物の敷地は建築基準法の道路に必ず2m以上接していなければ建築できません。


もしご自身の所有地が建築基準法の道路に接道していない場合、「建て替えできない」「再建築できないから価格が下がる」となると、資産価値は大きく棄損してしまいます。


とはいえ、今回コラムの「43条但し書き道路」として許可が得られると、再建築もできますし、資産価値を保つことも出来るかもしれません。

「所有地が接する道は、道路なの?道路じゃないの?」

そういったことを理解するためにも、まずは建築基準法の道路について理解してみましょう。

 建築基準法の道路とは

建築基準法の道路とは、国が建築基準法第42条によって、原則道幅が4m以上あるものを「道路」として6つの種類で定義しています。見てみましょう。

① 第42条1項1号の道路
  道路法で定められた道路(高速自動車道は除く)のこと。
  国道・都道府県道・市町村道・区道が該当します。

② 第42条1項2号の道路
  都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律、
  都市再開発法などに基づいて築造された道路のこと。
  都市計画道路や区画整理による道路、開発道路などが該当します。

③ 第42条1項3号の道路
  建築基準法施行時(1950年11月23日)または、都市計画区域編入時に、
  国道・都道府県道・市町村道・区道、つまり①を除い ”既に存在していた道路” が該当します。

④ 第42条1項4号の道路
  道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法などの法律によって、
  新設・変更の事業計画がある道路のこと。
  2年以内にその事業の執行が予定されているもの。
  特定行政庁が指定している道路がこれに該当します。

⑤ 第42条1項5号の道路
  位置指定道路のことです。
  建築基準法令等で定める基準に適合する道路で、
  土地の所有者が新たに築造するにあたって特定行政庁から許可を受けたものを指します。
  土地の所有者が特定行政庁に申請することで位置指定が行われ、
  建築基準法上の道路として認可されて一旦認可を受けると、
  所有者の都合でほかの用途への変更は一切できません。

⑥ 第42条2項の道路
  建築基準法施行時または、都市計画区域編入時に ”既に存在する幅員4m未満の道路” のことです。
  “みなし道路”ともいわれています。


現況4m未満であっても、この道路に面して建築する際には、道路の中心線から水平距離2mの線を、道路の境界線と見立てて敷地の一部を道路とみなし、その ”みなし道路” を除いた敷地で建築計画を立てる必要があります。


なお、道路の中心線から水平距離2m未満に崖や川、線路がある場合は、崖等から水平距離4mの線を道路の境界線とみなします。

 建築基準法42条に該当しない道路

上記した6つのルールに該当しない道路は、建築基準法で定めた道路ではないので、建物を建設することができません。

生活道路・農道・裏路地・通路など、見た目が道路形態をしていても、現に住宅が立ち並んでいても、また道路幅がたとえ4mあっても、建築基準法の道路でなければ建物の建設はできません


このルールによって1950年以前(法以前)に建設された建物や、それ以降でも法認識が乏しかった時代に建設された法42条道路に接道しない土地上にある建物が「建て替えできない」となっています。

また道路に該当するか否かは、1981年に改正された建築基準法によっても左右されます。
そのため、中には建築基準法の「道路」には該当しない「ただの道」となっているものがあります。
この「ただの道路」も建て替えができません。

「両親の住宅は建替えできないのか!!」
「再建築できないなら売ることができないじゃないか!!」
と、所有者にとっては憤りと不安が混み上げる大問題です。
資産価値も損なってしまいます。地震対策など生活者の安全にも支障があります。
そこで、救済措置が用意されています

その救済措置としてあるのが「建築基準法43条但し書き」です。

 建築基準法43条但し書きの条件

救済措置としてのルールですが、そこには厳格な別のルールが備わっています。

① 敷地の周囲に通路として使える「空き地」がある。
② その「空き地」を道路として使っても安全だと認められる
③ その「空き地」の所有者全員の同意承諾が得られる
④ 建築基準法の道路まで、その「空き地」が確保されている
などとなります。

また新たに建設する建物に対して、面積・性能・階数などに制限・条件が付加される場合が多く、すべて満たすことができれば建築可能となります。

 建築審査会

このルールの審査をするのは建築審査会です。
この審査会の許可を受けないと建て替えができない道が「43条但し書き道路」とも言えます。

建築審査会とは、建築主事(建築確認を行う権限をもつ、地方公務員のこと)を置いている各都道府県や各市町村に設置される組織を指します。

国は建築基準法第42条によって、原則道幅が4m以上ある建築基準法42条で定められた6種類に該当する道路のみ、建築基準法(建物の建設ができる)「道路」として定義しています。
さらに、この道路と2m以上接している土地ではないと新たな建物は建てられない、と定めています。

あくまで救済措置としての個別対応となるので、建築審査会の審議により安全性が確認されたのち許可が下り、ようやく通常の建築確認申請に進める状態となります。

 但し書き申請の流れ

建替えの場合は自分自身で対応も可能ですが、売却の場合、もしくは購入検討者は、必ず建設会社・設計士・不動産仲介会社に相談して進めましょう。 


売却したい場合の申請時の流れを解説します。
但し書き申請を行う際の手順は、大きく以下の4ステップです。

① 自治体に問合わせ・道を確認
② 設計者・不動産仲介会社に相談
③ 建築審査会に必要書類の提出
④ 自治体による審査
となります。

各ステップごとの作業を順番にご説明します。

① 自治体に問合わせ・道を確認


最初に不動産所在地の各都道府県(各市町村の自治体)へ問いあわせて、該当物件と接している「道が建築基準法外の道路であるか教えてほしい」と伝えて確認してもらいます。

② 設計者・不動産仲介会社に相談


この分野は主に不動産仲介会社への相談が良いです。
道が建築基準法外の道路であることを前提として、今後どのように進めたいのか、所有者が想定する方向性を共有してください。


その内容によっては以下のような選択もあります。
 ・直ぐに換金 ⇒ 難しい問題は避けて専門会社に買取してもらう。
 ・建替え・換金 ⇒ 条件となる「空き地」の所有者全員の同意承諾を順番に貰っていく
 ・じっくり換金 ⇒ 購入者用の間取りを決定して、審査の必要な書類を準備する
 相談のうえで、以上のような内容の方向性を決めていきます。

③ 建築審査会に必要書類の提出


問い合わせの結果、道が建築基準法外の道路であることを確認して不動産仲介会社と相談のうえで、準備を整え、必要書類を自治体(建築審査会)に提出します。
提出は建築士などに委任して進めるほうが安全です。
参考までに一般的な43条但し書き申請を行う際に必要となる書類を下記に記載します。
<43条但し書き申請書類>
 ・申請書
 ・委任状(申請手続きについての代理業務を委託している場合)
 ・申請理由書
 ・配置図
 ・各階平面図
 ・立面図
 ・断面図 など
 ・空き地を道路として利用する関係者の同意書

ご覧のように再建築する建物に関する資料が多数です。
適正価格で売却するには、建築計画も重要です。


また43条但し書き道路の敷地利用には、面積・性能・階数などに制限・条件が付加されています。
難易度がある中でも、できるだけ購入検討者が建物に興味関心を持ってもらえて、建物価格も適正であることも重要ですので、経験豊富な設計士や工務店にも合わせて相談することが大切です。

④自治体の審査

自治体に必要書類をすべて提出すると、建築審査会が開かれて審査が行われます。
建築審査会の審査が通ると、但し書きの許可が得られ、再建築も可能になりますし、購入者も安心して購入できる状態となります。

 43条但し書き道路 売主の注意点

① 「道路として利用する空き地」の関係者承諾が不調に。。

現状の道を、ご自身を含むその他大勢で所有しているケースがあります。
申請許可を得るにはその大勢の合意(将来にわたって道路として皆で利用しましょう。といった内容)も得なくてはなりません。
良好な人間関係であれば、難なく合意を得られるかもしれませんが、合意を拒まれる場合もあります。

合意を得やすい環境づくり、つまり道の所有者同士で普段から良好な人間関係を築くことも大切となります。
万一合意を得られない場合は、現状のまま(但し書きの許可申請が出せない状態)で専門の不動産業者に売却することも視野に入れても良いかもしれません。

② 必ず許可が下りるとは限らない

基準をすべて満たせていても、必ず許可がおりるとは限りません。


安易に考えて建築審査会の許可手順を怠って売却活動を行うと、後になって買主から「建築審査会の許可が下りないんだけど」といった具合で、解約や違約の問題に発展しかねません。


所有者自信が建替えしない場合、つまり売却する場合であっても、前もって建築審査会の許可が下りることを確認したうえで、「再建築が可能な物件として」売却活動を行いましょう。

③ 近隣の法道路に面した土地よりも安くなる

43条但し書き道路の申請許可され、新築が完成できたとしても、前面にある空き地が道路として認定されたわけではありません。
あくまで、その空き地を利用する方々全員が「互いに道路として使うことを約束した」自主的な状態です。法律で道路と定めた訳ではありません。

つまり将来、もう一度建て替える場合は再申請が必要になる点は、土地購入者にとっても将来的な不安を含めた購入となります。
つまり、たとえ43条但し書き道路の申請許可がおりる前提であっても、通常の建築基準法道路に接道した不動産より条件が不利となるので売買価格が下がると思ってください。

長くと書きましたが、もし所有地が道路に接してなくても、安易に安値売却をしたり、建て替えを断念して放置するのではなく、所在地の自治体、不動産仲介会社、設計士、建設会社と積極的に情報共有していただくと、良い出口が見つかります。

以上、参考にしていただければ幸いです。