再建築不可物件でも売却可能?より良い条件で売るためのポイント
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再建築不可物件とは
現在ある建物を取り壊して、その土地に新たな建物を建てることはできない物件を指します。
こうした不動産を所有している人の中には、なかなか買い手が見つからず、かといってそのまま所有していても使い道がない…と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
しかし、再建築不可の物件でも、いくつかのポイントを押さえれば有利に売却を進められる可能性があります。
この記事では再建築不可物件がどういうものかの説明と、再建築不可物件を売却するための方法を紹介します。
再建築できないのはなぜ?
今家がちゃんと建っているのに、なぜ今になって建て替えできなくなるのか、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。原因を順番に見ていきましょう。
◆法基準の変更
再建築不可物件が存在するのは、1950年の建築基準法および1968年の都市計画法ができる以前はそのような土地に家を建てることが違法ではなかったためです。
法律ができる前に建てた家をすぐに撤去を求めることはできませんが、次の建築は認めない。
そういう意味で再建築不可物件という扱いになるのです。
こうした背景もあって再建築不可物件は築年数の古いものが多くなります。
では、再建築不可となる具体的な条件はどのようなものなのでしょうか。
所有する不動産が条件に当てはまっていないか、確認します。
再建築できない土地のポイント
①接道義務:道路に面していない。接道間口が狭い
再建築不可となるのは、建物に問題があるからではありません。
原因は建物が建つ土地と道路との関係によります。
具体的には、道路に面していない、または面する範囲が狭いというものです。
建築基準法には「接道義務」が定められています。
接道義務とは、『建物を建築するにあたって、原則として幅員4m以上の道路に土地の間口が2m以上の幅で接しなければならない。』という規定です。
上の図の土地Aは、四方を他の土地に囲まれていて道路に全く面していません。
このような土地に建物が建っていたら、再建築不可物件になります。
土地Bは道路と接していますが、その範囲はわずかです。
この道路と接している幅(接道幅)が2メートル未満の場合、その土地は再建築不可になります。
実際に存在する再建築不可物件はこの土地Bの形状のものが多いのではないでしょうか。
またこの接する道路はその幅員が4メートル以上あることが条件になります。
土地との接道幅が十分にあった場合でも道路側の幅が4メートルに満たない狭い道路に面した土地には、新たに建物を建てることはできないという原則があります。
但し、4ⅿ未満の道路であっても、建築基準法上の道路であれば、セットバックをすることで再建築が可能となります。
②接道義務:建築基準法で定めた道路に面していない。
また、次の図のような土地も存在します。
土地Cは一見すると問題なさそうですが、実は接しているのは道路ではありません。
このように建築基準法上の道路に面していない土地も世の中には一定数あります。
こうした土地は再建築不可となります。
再建築不可物件が土地と道路との接道状況によって決まることが分かりました。
敷地が道路に2m未満しか面していない、または面する道路幅が狭い。
建築基準法で規定された道路に該当しない、など。
その原因となるわけですが、そもそも、なぜ道路事情によって家の再建築が制限されるのでしょうか?
再建築できない理由
その理由は、こうした土地では消防車や救急車といった緊急車両がスムーズに入れないからです。
例えば道路に面していない土地で火事が発生し、消防車からの放水が届かなかったら、周囲への延焼の危険があります。
そうしたことを防ぐために、建物を建てていい土地と、建築できない 土地を ”敷地の接道状況” によって区分しているのです。
再建築不可物件の市場性
再建築不可物件は買い手にとって、複数のデメリットがあります。
①建て替えができない
再建築不可物件の一番の問題点です。
仮に今の建物がしばらくは利用できたとしても、老朽化が進めばやがては使えなくなってしまいます。
通常の土地であれば、その時に建て替えをしたり、住宅用の土地として売却をすることができます。
しかし再建築不可物件はそのどちらもできません。
将来的に活用できない土地を手にしてしまうと、その管理の手間や税金だけが発生する赤字の土地となってしまう可能性があります。
そうした土地を買いたいと思う人は残念ながらあまりいないでしょう。
②買い手が住宅ローンを借りられない
幸いにしてその不動産を買いたいという人が出てきた場合でも、別の障壁が立ちはだかることがあります。
再建築不可物件の購入に対しては住宅ローンを貸し出さない、というのが金融機関の一般的な対応となるからです。
不動産を買うときは住宅ローンを組む人が大半です。
そうした人を対象にできなくなってしまう点は、再建築不可物件の売りづらさを増幅させていると言えるでしょう。
③購入者が少ない
このような理由により、再建築不可物件の買い手は限られることから、取引価格も低くなります。
再建築不可の土地売却に際して、「市場性は低い」と言えます。とはいえ、手順を整えて売却活動を行うと、良い条件で売却できる事があります。具体的に見ていきましょう。
売却するときの注意点
①まずは隣地へ声をかける
再建築不可の土地でも、隣地からすれば、自宅敷地が大きくなり、庭や駐車場にすることの利用価値がありますし、隣地が ”敷地の接道条件” が満たされておれば、一緒にすることで、再建築不可の土地が、再建築可となるわけです。
具体的な進め方
・隣接している ”接道条件を満たした敷地” の全部または一部を購入する。
・隣接している ”接道条件を満たした敷地” の所有者に売却する。
これができると、接道義務を果たせるようになるため、再建築が可能になり、価値は随分上がります。
交渉を要することですが、実際隣地の方が一部を譲って頂けることも、購入いただけることも多々あります。相手にもメリットがあることですので、ぜひ声かけをしましょう。
②建物を改装してよみがえらせる
※建物の躯体(屋根・柱・基礎)が利用できて、改装工事費用があるなら
再建築不可の土地でも、既に建設されている建物をリフォーム・リノベーションすることはできますし、予算次第では新築と変わらないくらい丈夫でキレイな改築もできます!
一度解体してしまうと何も建築できませんが、改築であれば住宅としての利用価値が維持できます。
再建築不可とはいえ、快適に住める・貸せる、となればローンの利用は難しくとも、隣地に限らず購入者を探すことが可能になります。
もし、再建築不可物件を一旦更地にすると、このような方法が使えなくなります。
更地としての利用価値がない立地の場合、建物がある場合より一層売却することが、難しくなると予想されるため、再建築不可物件を更地にする際は、慎重に判断してください。
③解体するなら売ってから
再建築不可物件を売却するために、すでに建築されている物件を取り壊して更地にした方が良いのではと考える人もいるかもしれません。
しかし、再建築不可物件は、基本的に更地にしない方が売却しやすいです。
もし改装工事をする予算がない、あるいは建物の老朽化が激しく利用しにくい場合でも、急を要する状況でなければ、購入者が見つかって、購入者の利用方法を確認し、建物不要が判明してからの解体をお勧めします。
売却を上手に進めるポイント
①「隣地の購入」で再建築を可能にする
再建築不可物件であっても、隣の土地を所有・購入することができれば、接道義務を果たせるようになるため、再建築が可能になります。
そのため再建築不可物件の隣地の所有者と交渉して、購入によって接道義務・間口要件をクリアできるようになれば、土地として十分な活用ができるようになるというわけです。
交渉が上手くいかないとこの方法は使えませんが、隣地全てを買う必要はなく、不足している分の面積だけでも構いません。
再建築可能になれば不動産の価値は上がるので、検討する価値はあるではないでしょうか。
②リフォーム・リノベーションを行う
柱や梁などの構造体を壊して建物を建て替える場合、「建築確認申請」と呼ばれる申請が必要です。
再建築不可物件の場合、この申請を通すことができませんが、構造体を残したまま行うリフォーム・リノベーションでは申請が不要なため、自由に行うことができます。
リフォーム・リノベーションによって不動産の付加価値を高めることで、売却を有利に進められる可能性があります。
③再建築不可の不動産を買い取ってくれる不動産会社・買取業者を見つける
不動産業者の中には、再建築不可の物件を多く扱っている会社も存在します。
また、再建築不可物件を専門にした買取業者の中には、買い手を見つけるためのノウハウを持っていたり、再建築不可物件に特化した再生事業を得意としていたりするケースもあります。
物件買取相場は安くなるケースが多いですが、確実に再建築不可物件を売却するためには、再建築不可物件を専門に取り扱う買取業者への売却も検討してみましょう。
再建築不可物件を売却する際はポイントを押さえる
そのままではなかなか買い手が見つかりづらい再建築不可物件でも、きちんと対策を行えば有利に売却できる可能性があります。
前述した隣地の購入やリノベーションのように、対策のために費用がかかるケースもあるので、売却で得られる代金とその費用が見合うかどうか、しっかりと確認しておく必要があるでしょう。
再建築不可物件は、売却に専門知識が必要なため、個人で対応することは簡単ではありません。
再建築不可物件を取り扱う専門性を持った不動産業者などに相談し、対策を検討することをおすすめします。