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2023.07.13

売却益の優遇税制3千万控除とは

譲渡所得税の優遇税制は?

◆3千万控除

このように「自宅」を売却したとき、ほとんどの場合は大きな税金がかかりません。
それは、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」(「3千万控除」と記載)の制度があるからです。

「3千万控除」は、不動産(マイホーム)の売却益から最高3,000万円まで控除できる特例です。

つまり、売却益のうち3,000万円まで非課税になるというとてもオトクな制度です。


マイホームが購入時よりも3,000万円以上高く売れるケース(減価償却に注意)を除いて、この制度を使えば譲渡所得税・住民税が非課税になります。

この3千万控除を使うには一定の条件がありますが、自宅、マイホームを売った人ならほとんどが適用要件に当てはまります。


ちなみに、マイホームを売却したときの「3千万控除」とは別の制度になりますが、相続した被相続人(他界した方)の居宅(マイホーム)を売却したときに3,000万円まで控除される「空家の譲渡所得の特例」制度もあります。

◆3千万控除の利用条件

この制度を利用するためには様々な条件があります。
マイホームであれば基本問題ないものの、条件にもれてしまうケースも時々あります。
念のため確認しておきましょう。

<3千万控除 利用の主な条件>

・自分が今住んでいる土地や家である。
・この特例を受けるためだけの目的として入居した家ではない(節税対策ではない)。
・別荘など娯楽や保養のための家ではない。
・売却した年の前年および前々年に同控除や住宅ローン控除など、他の特例を受けていない。
 (3年に一度しか使えない)
・転居している場合は、住まなくなってから3年経過した年の12月31日までに売却している。
・売る相手が配偶者や兄弟といった、生計を一つにする親族ではない。

転勤や年老いた両親のもとに帰るなど、事情で転居した場合には、売却するかどうか悩んでいるうちに3年が経過し、さらに売出しを始めて4年目に売買が成立した時には、残念ながらこの制度は利用できなくなります。

「住まなくなった日から3年目の年末までに売却する」という期限には注意が必要です。


では、もう少し踏み込んで、使えると思っていたのに控除が利用できなかった😱
といった具体例を見ておきましょう。

◆3千万控除が利用できなかったケース

① 期限を過ぎた場合
 ・自宅から転居のあと、3年経過した日の年末までに売却できなかった。
 ・自宅から転居のあと、2年期限付きで貸家として借主から賃料をいただく
  にも拘わらず入居者の退去が遅れ、3年経過した日の年末までに売却できなかった。

② 建物の解体
 ・自宅から転居のあと、3年経過した日の年末までに売却したが、
  建物を取り壊して1年3カ月経過し、利用できなくなった。

③ 他の税控除との併用
 ・自宅から転居のあと、3年経過した日の年末までに売却したが、
  転居先の自宅購入で「住宅ローン控除」を利用しているため、当控除は利用できなかった。

住まなくなってから3年目の年末までに、との期限にはとても注意が必要です。
この期間内であれば、その間に借家として収益を得ていても、3000万円特別控除は問題なく利用可能です。

また、3千万控除はマイホーム所有者への優遇制度です。マイホームとは自宅であり、自宅である前程は「土地と建物」のセットである。との解釈があります。
自宅が老朽化していたから近所に迷惑がかからないようにと家屋を解体した場合には、解体更地にした日(登記上の滅失日もしくは解体会社から発行される解体証明の日付)から売却日(売買契約締結日)が1年以内であることが、この特例の利用要件になります

また一時でも、建物解体後の更地を駐車場等として収益した場合には、自宅枠から完全に離れてしまうため、その賃貸期間に関わらず、解体更地から売却日の期間に関わらず、3千万控除は利用できなくなります。

また更地にすると、固定資産税(都市計画税)の税額も増えます。
家屋の存在しない宅地は、建物があった時に比べて3~4倍の固定資産税・都市計画税の支払いになる場合が多いです。
そのうえ売却時の税控除枠まで失ってしまうと損失は計り知れません。

建物の解体は老朽化していた場合でも税金の検討も税理士に相談するなど、慎重にすすめるようにしてください。

ちなみに。
「売る相手が配偶者や兄弟といった、生計を一つにする親族ではない」の「生計を一つにする」とは
①日常の生活の資を共にする状態 
②都合により家族と別居している親族が、
 1)生活費、学資金又は療養費などを常に送金している状態 
 2)日常の起居を共にしていない親族が、余暇には他の親族のもとで起居を共にしているとき
これを「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
つまり、日常生活において生活費が別である親族や兄弟間での売買であれば3000万円特別控除は利用可能となります。

節税対策?それとも脱税?

例えば、本来なら800万円の譲渡所得税の支払いが発生するにも関わらず、3000万円の控除を受けると140万で済んでしまうケースを考えてみましょう。
そうなると、この特例を受けるためだけの目的(節税対策)として居住する所有者もいらっしゃいます。
本当に居住している場合はまだ良いのですが、脱税と認識されてしまうような方法で居住実態を装う場合があります。


税務署はライフラインの利用実績や近隣聞き込みによる居住実態の調査に至るケースもあります。
結果、居住実態がなく悪質との判断を受けると、本税に合わせて追徴課税のおそれもあります。

まとめ

◆3千万控除とローン控除の併用

2023年時点では、原則、”住宅ローン控除”と”3千万控除”の同時併用はできません。
どちらの控除を利用した方がメリットがあるのかは、専門家に相談して選択しましょう。

また、こちらのブログには「どっちも税優遇を受けたい!」という方向けに「ローン控除と3千万控除の併用」について詳しく書いています!

ローン控除と3千万控除の併用