不動産の売却を何回も経験したことのある人は、ほとんどいません。
ましてや土地売却にいたっては、弊社では40~50代の方からのご相談が多いことを見ると
多くの方が半世紀、まったくの未経験ではないでしょうか?
金額が大きい売買となるため、慎重に慎重を重ねて動けなくなってしまうこともあるでしょう。
また売却が完了できた場合でも
「一般的な情報のみで判断せず、もっとよく情報を仕入れてから売却した方がより高く売れたかもしれない。」
と思うこともあるかもしれません。
このブログでは、土地売却時に安くなりやすい具体例をあげていきます。
初めて土地を売却する人、現在売却活動をしている人、将来的に土地を売却する予定がある人
全ての人の参考になればと思います。
Contents
どうして売却価格が安くなるのか?
◆境界が確定していない
境界が確定していない土地は売れにくいため、安くなりやすい理由の一つです。
境界は、境界線の認識の違いから、隣地所有者と揉めるケースがあります。
境界が未確定の土地は、買主が購入後のトラブルに巻き込まれるリスクが高いため、購入希望者が減ります。
また、不動産会社・仲介会社の前向きな協力も得にくくなります。
トラブルのリスクがある土地は「そもそも売れる状態にない」と判断したり、会社組織としてリスクを回避するため、取り扱わないと判断する場合もあります。

◆古家が残っていて、土地の全景や状況が把握できない
建物を解体するには費用がかかりますので、古家のまま売却を行うことはよくありますが、更地に比べると安くなる傾向です。
なぜなら、解体費用分だけでなく
・建物があることで土地の全景がわからないこと
・解体の見積もりどおりの費用でおさまるのかわからないこと
・解体後に地下から撤去費用のかかるものが出る場合がある
・地下に建築コストアップの要因が隠れている
などの不安材料をふくんでいるからです。
これら不安材料のリスクをふまえての、売買価格の値引きが求められてしまいます。

◆越境物がある。隣地の構築物が越境している
越境物がある場合も、安くなる理由です。
例えば、隣地から伸びている木の枝など、簡単なものであれば、伐採してもらうことで越境が解消できますが
塀・庇・雨樋など、簡単に是正できないものがある場合が課題になります。
過去の取引事例で、私は買主側の担当者でした。
隣地の家の壁自体が8㎝ほど越境していたために、融資相談のさい、複数の銀行から担保評価の観点から否認を受けました。
融資を通すために、越境部分を文筆して越境のない土地部分で売買契約を行い、越境部分は別途で現金で売買を行いました。
売主は文筆する費用と時間がかかり、売却価格もさらに下げる結果となりました。

◆ライフライン
前面道路に水道・下水道・ガス管などのライフラインが埋設されているか、そしてその埋設管が本当に利用できるのか、がポイントです。
これも過去の体験談ですが、私が建築設計で携わっていたお客様で、すでに土地の購入を完了された状態でのご相談でした。
購入された土地の前面道路は私道で、水道管の埋設があり、当然使用できると仲介会社から説明を受けていたそうです。
しかし、建築の話が進む途中、当方が役所に調査に行くと
「その水道管に新規で接続すると、現在接続している家庭の水圧が下がってしまう可能性があるので、接続してはいけない」
との回答を受けました。
そのため、新築される際に、水道の接続は数十メートル先の大きな水道管から、個人で水道管自体を引き込まざるを得なくなりました。
よって、土地を仲介した会社と、土地の売主に交渉して、多大な費用を負担していただきました。

安くさせないためには?
これまで見てきた課題への対策を見ていきましょう!
◇境界が確定していない
⇒事前に土地家屋調査士に依頼して、境界を明確にしましょう。
土地の境界を曖昧にしておいたほうが、もめごとが起こらないのでは?と近隣住民が協力したがらない場合もあります。
しかし、筆界確認(境界確認)には、その土地が抱える潜在的なトラブルを見つけだしたり、問題を解決へと導くきっかけができるメリットがあります。
つまり、将来的な近隣トラブルを未然に防いで、安心して建築や土地売買ができるようになります。
すなわち、買主側も安心して購入することができるようになるため、価格を安くする必要がなくなります。

◇古家が残っていて、土地の全景や状況が把握できない
⇒解決策のひとつとして、隣地所有者との間で「越境の覚書」を締結しておくことが適切な対策です。
※越境の覚書とは
境界上に越境物がある場合において、隣地所有者との間で「越境物の所有権」や「是正方法」などについて取り決めを交わした書面です。
塀や庇であれば、基本的に融資を受けるときにも有効な書類となります。
逆にこの書類がなく、今後も取り交わせない場合、隣地に話をもちかけるのがこれからという場合は、買主にリスクがあるために、売却価格が安くなる可能性があります。

◇ライフライン
⇒ご自身では、なかなか調査・判断ができない可能性があります。
まず、依頼される不動産会社に調査してもらって、現状を把握し、そのうえで想定されるリスクの課題を確認しましょう。

まとめ
大きなポイントと解決方法をあげてきました。
買主の目に見えない不安材料が、売却価格を安くする要因になります。
また、あとから費用請求されることで、売主にコストが想像以上にかかってしまうことになります。
事前に売却される不動産の状況を把握し、買主のコスト・気になる点を明確にできる準備をして、先に書類を用意しておくことで、安くなりやすい要因を最初から排除しておきましょう。