このブログは業界歴30年の宅地建物取引士が執筆しています。
「特定空き家」という言葉を聞かれたことはありますか?
特定空き家に指定されると、固定資産税が6倍 になる!?
罰金が科せられる!?
といった「空家」にまつわる不安な噂、話題があります。
それ、聞いたことある!という所有者も、おられるのではないでしょうか。
今回は、そんな不安の原因となる「特定空き家」の制度や、その制度背景、実際の課税状況、そして対策など見ていきたいと思います。
結論から言えば、”ほったらかし空家” は ”特定空き家” の認定を受けることがあり、税金負担の増加、過料が課され、さらに”行政代執行”による強制解体や、強制支払になることも今後予想されます。
増え続ける ”ほったらかし空家” を、前向きに解決したい所有者の方は
①住む人を探す
②活用する
③解体する
④売却する
の4つの選択肢を、一度真剣に考えてみてはどうでしょうか?
「②活用する」は、”普通の賃貸” しか選択肢がなかった昔とは違って、期間限定の定期借家や、所有者が簡易に民宿業ができる民泊、シェアハウス、DIY賃貸など、レパートリーが増えています。
利用者を探す手段も、街の賃貸屋さんだけでなく
メルカリのようなCtoC(個人間)で安全に取引できるレンタルや
代表的な予約サイト「Airbnb(エアビ)」
古い空家をオーナーの費用負担0円でリノベーションして借上げてくれるサービスなど
さまざまな集客手段が生まれていますので、そういった分野もご紹介します。
Contents
固定資産税が6倍!特定空き家とは?
■空き家対策としての「特定空き家」
平成26年に空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家特措法」という)が制定されています。
これは、空家等の発生の抑制、利活用、除去等の取組を推進 するためのものです。
普通の「空家」とは、概ね1年以上の期間で人が住まず、使用されていない建物のことを指し、定期的に管理され、保守されている場合は一般的に「空家」としていますが、以下のような状態の場合は「特定空き家」と空き家特措法で定めています。
【特定空き家の認定基準】
① 放置すれば倒壊など保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われていないことにより
著しく景観を損なっている状態
④ 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが
不適切である状態
空き家特措法では、規制対象は建物だけではなく、門や塀、立木、看板、擁壁なども含めている点も重要です。
■建物のある固定資産税等は、そもそも軽減されている
通常、不動産を所有していると毎年固定資産税がかかり、さらに市街化区域内にある土地には都市計画税もかかります。
ただし、住宅・アパートなど建物が建っている土地には特例措置があり、以下の表のように安く抑えられています。
よって、空家の古家屋の所有者は、建物の解体をふみとどまる原因になって、結果的に地域環境を阻害したり、近隣住民の迷惑や安全を脅かす原因にもなっていることから、今回法整備された背景もあります。
なお固定資産税の計算方法については、また別のブログを参照してください。
■特定空家に認定されるとどうなる?
特定空き家に認定(各自治体が指定)されると、不適切な部分の是正(行政による助言や指導)を求められます。
また、これに従わなかった場合には、強制力を伴う是正勧告を受け、勧告の翌年度より固定資産税の住宅用地軽減措置から除外され、税額が大幅にアップされます。
是正命令に応じず違反になった場合は、最大50万円の過料が科せられ、最終的には所有者の意志に関わらず「行政代執行(略式代執行)」が実行され、是正に伴う費用が所有者から徴収されます。
■特定空家の勧告で固定資産税が6倍?
よく言われているような「固定資産税が6倍」ではありません。
実際には、小規模住宅用地の評価減が受けられない土地でも負担調整措置があり、課税標準額は固定資産税評価額の70%(東京23区などは65%)に軽減されます。
そのため、固定資産税は6倍になるのではなく、実際は約4倍になります。都市計画税は約2倍になります。
どちらにしても「特定空き家」に認定されると「非住宅用地」として大幅な課税増は避けることが出来ません。
以前は更地で土地を持っておくより、管理できなくても建物があれば固定資産税が安くなるとして、景観を損なったり、安全性が乏しかったり、迷惑・危険であろうと古家を残置することが一般的でした。
空家対策が必要な背景
人口減少による空家増加が理由です。
2022年国土交通省住宅局の発表によると、2008年に日本人口はピーク(1億2,808万人)をむかえ2023年には1億2,330万人と15年で478万人減少。
かつては一生涯で2件、3件と住宅など家屋を消費する時代もありました。そこに人口減です。両親・夫婦・子供が同居する昭和前半の世帯構成から世帯分離が進み、世帯数こそ伸び続けていましたが、それも2023年をピークに下降が始まり、空家の数も年々増加しています。
その証拠に、住宅・土地統計調査(総務省2018年)によると、全国空家は849万戸と、実は人口減少スピード以上に年々増加しています。
この全国空家849万戸の中には、賃貸にも売却にも関わっていない、いわゆる「ほったらかし空家」が349万戸(空家全体の4割)もあり、ほったらかし空家は、この20年で2倍に膨らんでいます。
この「ほったらかし空家」こそが、年々「特定空き家」の認定対象に加わっています。
参考資料:空き家政策の現状と課題及び検討の方向性 (国土交通省住宅局 令和4年10月)
”特定空き家”の回避策
ほったらかし空家を特定空き家に認定されないためには、次のような方法があります。
① 住む人を探す
② 活用する
③ 解体する
④ 売却する
それぞれの方法を詳しく紹介します。
◇ 住む人を探す
家族や親族、時には友人でも良いと思います。
ほったらかし空家にならないよう、住む人がいないかを確認し、探してみましょう。
空家は、風通しが悪く、湿気・カビ・害虫などが増すことから、人が住んでいる建物よりも傷みが早く進みます。
人が住むことで適切に管理され、良好な状態を保つことができます。
◇ 活用する
空家が賃貸需要のある立地にあれば活用もお勧めです。
賃貸活用には初期コストも必要となりますが、安定収入で十分採算が取れるだけでなく、所有者自身の生活を潤す事も可能です。
もちろんプロ(不動産会社)に相談も必要ですが、最近は個人間のマッチングサイトもあり、借主を見つける方法も増えています。
貸家だけでなく、定期借家もあります。
シェアハウス・民泊など様々なレンタル方法も最近は出てきています。
ちょっと不便だし、家も古いし、小さいし、などと過小評価せず、思い切って情報集めからチャレンジしてみましょう。
ここでのポイントは、修繕費と維持管理コストなど「出ていくお金」と予想賃料「入ってくるお金」のバランスではないでしょうか。
空家は、もともと古く傷んだ建物が多いのも事実です。
活用するためには多額のリフォーム費用が必要になるケースもありますが、あまり費用がかかりすぎると、バランスが崩れて所有者の負担が増えるだけでメリットがなくなります。
個人的には建物の見栄えを改善する改装費は後回しで良いと考えています。
地震対策や雨漏れ対策など建物健康を優先して、設備や室内表装(クロスや床など)はローコストに仕上げるほうが良いと思います。
その上で、見栄えを良くすることが具体的な賃料UPにつながる場合のみ、デザインや性能の良い設備も検討しますが、10年分の賃料収入を上回るような古家の改修工事費は避けるほうがよいと思います。
最近では、DIY賃貸といった、リフォームをしない代わりに安い家賃で賃貸し、入居者が自由にリフォームやリノベーションができるような賃貸方法もあります。
また、これも個人的な見解ですが、空家の内装費用負担ゼロで空家を再生し、さらに借りてくれる「カリアゲ」というサービスをしている会社があります。
この場合、借上げしてくれる6~8年の間は相場の10%程度が空家所有者の収入です。
所有者はしばらく家賃相場10%しか手にできませんが、思い出のある「家」が修繕費用負担なく再生されます。
その10%の収入で、最低限の維持コストを所有者は捻出できて、もちろん期間満了すれば、再生された想い出のある「家」を、自ら相場で貸すことが出来ます。
なかなか素晴らしい仕組みだと思います。
◇ 解体する
空家の維持管理コストの負担が重く、活用も難しい場合には、解体も選択肢になります。
空き家を解体する大きなメリットは、建物自体の管理をする必要がなくなることです。
ただし、空家を解体してしまうと、固定資産税や都市計画税が大幅に上がってしまうため、事前に解体後の活用計画を立てて、収支を見極める必要があります。
解体後は、更地にして活用する方法と、建て替えて活用する方法があります。
■更地で活用する方法
駐車場、駐輪場、貸コンテナなど
■建て替えて活用する方法
新築貸家、アパートやマンション、貸店舗など
収益が大幅に上がることも期待できますが、そもそも入居需要があるか、借入返済できるかなど、将来の家賃値下がり率は、など、経営計画をきちんと立てることが重要です。
いきなり建設会社にたずねると、建築させたい側なので客観的な意見はもらえません。
費用がかかっても第三者の不動産コンサルティングの意見を集めましょう。
◇ 売却する
空家に、将来住む予定も活用する予定もない場合、また費用がかかることに不安が大きすぎる場合は、「売却」が有力な選択肢になります。
何かしら、思い入れのある「家」を手放すことは、さみしく、ためらう気持ちが強いと思います。
ですが、空家を持ち続けるための維持費用や不安がなくなり、”ほったらかし”にも、”特定空き家”になってしまうことが防げます。
どうでしょうか? 少しはお役に立てましたでしょうか。
不動産はDNAが受け継がれるように、父母、祖父母、先人の大切な思いがつまっていて受け継ぐものかもしれません。
簡単には処分できない心情があります。
であれば、しっかり受継ぐ対策を検討してみてはどうでしょうか。
また売却も素晴らしい解決策だと思います。
空家が ”ほったらかし空家” や ”特定空き家”となり、生活の重しにならないよう、アイデアが必要であれば弊社もお手伝いします。
◇「こことち」を始めた理由
改めまして、私は「こことち」を運営するBLOSSOMDESIGN株式会社の代表、中濱整啓です。
これまでの経歴を紹介しますと、20代~30代は年間5,500件程度の仲介を行う、いわゆる不動産屋さんのエリア母店長を歴任し
その後40代には、年間160億円ほどの住宅建設に携わる建築設計企業で、執行役員(本部長)を経験してきました
不動産・建築業界に長らく身を置いてきましたが、業界の現状には大きな疑問を感じています。
それは業界の利益を優先した取引慣例、売上至上主義のビジネスモデルです。
「こことち」は、全員が納得し、売主・買主双方の利益を最大化することを目指しています。
私が「こことち」を始めるにいたった経緯を読んでいただけますと幸いです。
不動産業界の現実
残念ながら大手・中小問わず、悪徳仲介業者が少なからず存在します。
彼らは自分たちの利益を追求するあまり、顧客が本来得ることができた利益を遵法で搾取しています。
搾取しているからこそ、手厚い表面的なサービスにより顧客は満足度は高く、問題は表面化し辛くなっています。
アメリカで見つけた理想
私は30代半ばに、米国・サンフランシスコへ研修の機会を得ました。
そこで、米国の不動産取引の慣習や現状に衝撃を受けました。
米国では、売主専門のエージェント(担当)と買主専門のそれが別々に存在し、各々が顧客の利益を最大化し、リスクを最小化するために動いていました。
売主と買主は利益相反する。
どちらかにとって得なことは相手にとって損失になりうる。
であるからこそ、売主のための専任担当、買主のための専任担当という明確な役割分担があり、公正な取引が実現されていたのです。
「売主・買主の双方から直接依頼を受けるなど考えられない」と当時の米国エージェントが答えていたのが忘れられません。
日本の不動産流通
ところが日本の不動産業界は、この双方からの直接依頼が「両手仲介」との呼称で、当然のごとくまかり通っています。
何度も言いますが不動産は本質的に、売主・買主が利益相反の関係です。
また今日の日本での仲介制度では売主と仲介会社も利益相反の関係になっています。
高く売りたい売主、安く買いたい買主。そして手数料を大きくしたい仲介会社。
このトライアングルの中で、売主と買主の要望実態を握っているのは仲介会社だけ。
そのため、不動産屋は手数料の最大化を一番重視しながら、売主さま・買主さまの双方にとっての妥結だけを狙った対応になってしまうことが少なくありません。
その結果、資本力のある企業が、広告宣伝費をかけ、ブランドを醸成して、安心感をもたせておいて
不動産取引の情報弱者である顧客に対して、遵法としながらも搾取することを商慣習としています。
日本には日本の法制度があり、慣習があるため、米国の制度はそのまま利用できません。
一時、民主党政権下では、この両手仲介を禁止にしようとするマニフェストが確かありましたが
いつのまにやらロビー活動によって消滅した記憶もあります。
こことち開発に至った想い
日本の法制度において、仲介会社は仲介手数料を多く得られる方法を優先して取引を操作しています。
この操作を回避するためには、いっそ売主・買主が直接出会えればよいのではないか。
ましてや今日のWEB・SNS・IT技術をもってすれば、コストも抑えて売主・買主が直接出会えるのではないか。
そこには仲介担当者の手助けはないかも知れない、自分で相手とコミュニケーションをとる面倒を感じるかも知れない。
ですが生み出される結果こそが、売主・買主双方が満足できる取引が実現できるのではないでしょうか。
正義感とかそんなものではなく
「自分が売主なら、買主なら、そんな手数料利益を優先する仲介制度は、手間がかかっても利用したくない。」
そんな想いから開発にいたりました。
「脱不動産屋」により、売りたい、買いたいの意思が直接WEB上で出会えて
相手が見つかったら、不動産取引のプロに、安全な取引のために適正な調査に入ってもらい、取引を成立させてもらえばよいのです。
誰もが納得できる不動産取引を
そんな想いから、私は新しいサービス「こことち」を立ち上げました。
「こことち」は、不動産仲介業者を介さずにお客様同士で直接不動産売買ができるプラットフォームです。
手数料の最大化を重視する仲介会社による斡旋対応を回避できれば
もしかすると数千万高く売れることも、倍の値段で売れることも、過去の経験から可能性が大いにあります。
またWEB・SNS・IT技術はコスト削減をもたらし損益分岐も下げ、取引手数料の削減も可能となります。
今ある取引を全て否定するつもりはありません。
顧客ファーストな想いで活動されている会社もたくさんあります。
ただ選択肢として、直接出会うのもありではないか?
既存の仲介制度を利用しながら、「こことち」でも探す。
そんな新たなマーケットを作ってみたいと思いました。
正解は人それぞれだと思います。
ですが「こことち」は、いままでになかった不動産取引の新しいカタチを実現します。
不動産の売買を考えた時には
ぜひ「こことち」にご登録ください。