昭和のワンルームをチェンジ | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

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2023.02.13

昭和のワンルームをチェンジ

今さらワンルームって何?

大学生のデビュー、社会人デビュー、単身赴任、など親元や家族から離れて一人暮らしを始めるには丁度良い20㎡前後のサイズ感。
一室だけで水回りが備わった空間、それがワンルームです。

賃料はサイズが小さい分、安いのが魅力です。
ワンルームは昭和50年代後半から徐々に建築が増えてきたように記憶していますが、
そんな初期のワンルームは、大規模修繕で外装はきれいになりオートロック・宅配ボックスなど
今時の共用設備も更新されてきています。
「修繕積立金ありがたや」ですね。

古いワンルームはリフォームに躊躇


ですが残念ながら室内はというと、レイアウト・設備・収納・仕様、とにかく全てがレトロ。

投資目的で所有する方々も、安い家賃の不動産にいまさらお金をかけての改装は躊躇しがちです。

例にもれず、今回、長期間空室でお困りのお客様からご要望いただいた案件も
壁クロスや床シートの貼替で、長期間やり過ごしていました。

少し内容をご紹介したいと思います。

過剰なライバルで賃料圧迫

リノベーションの依頼主様のワンルームは総戸数200戸にもなる大規模マンションです。

常に、賃貸募集のお部屋が30戸近くありました。賃料は横並びで5万円前後。
新築や築浅だと家賃8~10万のエリアなので、比較すると仕方ありません。

借りる側からすると30戸の入居者募集の部屋数は多すぎて迷ってしまいます。
もちろん近隣で他の賃貸物件もあります。

賃貸業者からは”安い家賃設定”が重要とのアドバイスがあり、賃料最安値の部屋から入居者が決まるとの事でした。

そうなるとオーナーは最低限のリニューアル(壁クロス・床シート・建具ペンキ補修・水回り清掃)で済ますのが王道となります。

今回のワンルームの弱点

1 同マンションに賃貸募集物件が多すぎる
2 3点ユニットバス
 (最近はトイレ・浴室は別々が主流)
3 収納がない・クロゼットがない
4 靴箱もない
 (玄関幅が狭く下足入れが置けない)
5 ミニキッチン
  60cm四方の小さい冷蔵庫がビルトイン
6 部屋は6帖と空間に余裕がない
このような状況で、レイアウトやプラン変更も厳しい事もあり、最低限のリニューアルが適当と判断しました。

ワンルームのミニキッチン

提案ソリューション

<実現すること>
 1 女性利用を想定した下足スペース
 2 衣類がかけられる場所
 3 収納スペースを1帖分は確保したい
 4 冷蔵庫は普通の単身者用サイズ

<あきらめる事>予算・居室圧迫のため
 1 浴室とトイレの分離
 2 ミニキッチンをサイズUPする

<制約>
 □予算150万
 □専有面積17㎡

実現すること・あきらめることをご提案しました。

提案は「機能性・わくわく」の演出


今回のワンルームは天井高が2,700mmと、実は空間面積が大きいところが利点となりました。
その高天井を利用したロフトの制作で収納を確保。その下にハンガーパイプを設置。

シューズボックスの製作は、玄関ドアに被ってしまい、引越し荷物の搬入がままならないため
脱着可能な「棚板」だけの靴置場スペースを十分にとって、最大28足まで置けるスペースを確保。

シューズボックス・クロゼットなどを使用せず、ラワン材を使用し
モダン・ネイキッドな雰囲気で機能とデザインの両立し「ほかの部屋とは違うデザインされた雰囲気」を心がけました。

キッチンはサイズ拡大をすると、居室のレイアウト自由度をせばめてしまうので
ミニサイズだけど、愛着のあるデザインを心がけました。

ミニキッチンとサイズは同じでも印象を大きく変える
※調理する際はIHヒーターを設置。調理しないときは洗面台として利用し、居室との景色を馴染ませる。

その後はいかに?


賃料の設定は、他より15,000円上乗せしましたが募集から21日で借主様が見つかったとのこと。
その報告に思わずガッツポーズ! ドラマかよ!と恥ずかしくもありましたが。。💦

・施主様の予算
・小さなワンルームでの機能性の追求
・機能をデザインに昇華させる

これらをマーケットニーズから逆算し、私たちの提案が実現し、成果を生んだことはとても嬉しい事です。