中古戸建・土地の査定評価のされ方 | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

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2023.02.23

中古戸建・土地の査定評価のされ方

ご所有の戸建を売却しようとした際に、一体全体どんな風に査定評価がされているのか気になったことはありませんか?

区分所有マンションの場合は、同じマンション内に同じタイプの専有面積と間取りの部屋があります。

別の部屋であっても、建物構造・築年数・建築会社・仕様設備・管理会社・共用部分、基本全て同じです。ですから別部屋の売買事例があると価格がなんとなく想像できるのではないでしょうか?

また違う部屋タイプや階数違いでも、新築時の価格表やパンフレットなどがあるので、ある一定の新築時の価格設定ルールが見出せたりするので、想像力を働かせて、それら資料から、今売った際の自分の部屋価格を推測できたりします。

ところが戸建になると近隣の成約した家の情報を見聞きしても、二つとして同じ土地もなければ、多区画分譲戸建のタウンを除いて、建物だって建設した会社・築年数・設備仕様、その全てが異なります。一体全体どのように査定するのか想像できないのではないでしょうか。

そこで今回は中古・戸建住宅の査定についてお話しします!

マンションと異なり、土地と建物を分離して査定するのがpointです。
早速見ていきましょう。

中古戸建 建物評価って?

 基本的に中古戸建の建物は、建設会社・築年数・設備仕様、その全てが異なります。これをどうやって比較するのか。
それは売買戸建の建物部分には各々の異なる要素は査定に反映させません。が答えです。 

 つまり建物は「現在の時価で同スペック・同サイズの建物を建築したと仮定した際の価格」から、今回の建物新築後の経過年数で価格はある程度機械的に決めています。

 もちろん建物構造によって区分けはあります。木造・軽量鉄骨造・重量鉄 骨装・鉄筋コンクリート造などの区分けです。

 このように建物に関してはある程度統一的に価格が決まってくるので、主に中古戸建の「個別要因による評価補正」は土地部分になっています。

中古戸建 土地評価って?

評価の際は、最初に比較すべき売買成立した候補地をピックアップします。

選んだ成約済み戸建から、上記した統一ルールで建物価格を計算し、成約価格から引き算して、土地部分の価格を導きます。

そうして出てきた事例不動産の土地価格と、今回の査定地を具体的に比較していきますが、このとき「個別要因による評価補正(「補正」といいます)」が重要になってきます。

土地評価の補正項目代表5選

❶最寄駅からの距離

最寄り駅からの距離は、徒歩10分圏が評価が高く、10分圏を超えると1分ごとに落ちてくる感じです。
マンションほど強く価格に影響されませんが、やはり1分刻みにシビアに補正されますし、20分超えると徒歩圏扱いではなくなります。

❷建ぺい率・容積率

 この説明に入る前に用途地域を説明します。

用途地域とは

住みやすい街にするために13種類の用途に区分けした上で、そのエリアに応じた建物制限・利用制限など規定しています。

例えば、庭を広くとって2階建ての建物が立ち並ぶ閑静な住宅地を規定した「低層住居エリア」があります。

商業と住宅が程よく混ざり低層マンションも建設可能な「中高層エリア」や「住居エリア」。

それ以外にも「商業エリア」「工業エリア」など全部で13種類の用途区分が規定されています。

そうして13種の用途区分ごとに、建設できる建物の大きさを制限しているのが「建ぺい率・容積率」です。
具体的に見ていきましょう。

建ぺい率・容積率について

・低層住宅エリア::::例えば「建ぺい率40%・容積率80%」など

・中高層エリア:::::例えば「建ぺい率60%・容積率200%」など

・商業エリア::::::例えば「建ぺい率80%・容積率400%」など

建ぺい率とは、敷地に対して建物を築造してよい範囲のこと(実際の定義はもっと細かくあります)

例えば100㎡の土地の場合

・建ぺい率が40%::::敷地に対して築造できる建物床面積は40㎡

・建ぺい率が80%::::敷地に対して築造できる建物床面積は80㎡

容積率とは、敷地に対して建築できる建物の床面積合計のこと(これもざっくり表現です)

100㎡の土地の場合

・容積率が80%::::床面積の合計は80㎡

・容積率が200%:::床面積の合計は200㎡

用途地域を起点とする建ぺい率・容積率によって建設できる建物の大きさにかなり差がある事が理解いただけたのではないでしょうか。

建ぺい率・容積率はどういう補正・評価になるの?

大きいから良いのか、小さいから良いのか、その基準も見えにくい感じではないでしょうか。

結論は、容積率は上がるほど金額は上がる、という基準です。
集合住宅でも商業不動産でも、なるべくたくさんの床面積が建築可能なほうが良い!!との基準です。
これを不動産用語では「効用が増える」と言います。
容積率が下がるほど、補正をかけて査定を下げていくイメージです。

❸道路幅員・間口 

「接する道路」が土地の価格を査定する上で最重要になってきます。
接道状況が価格を決めると言っても過言ではありません。

道路の幅

基本的に4m以上幅がないと建物が建てられないので、4m未満だと8掛けくらいの評価額になることが多いです。
また住宅地の場合は、広ければ広いほど評価がよいかというと違っていて、国道みたいに広い道路になってしまうと、環境面でのリスクが出てきて価格が下がる要因になってしまいます。

間口

間口とは、敷地が接っしている道に対して接している距離のこと。
基本的に2m以上接道していないと建物が建てられません。

つまり間口は最低2mとして、広いほどに価格があがるイメージです。
もちろんバランスもあるので間口が20mで奥行3mでは評価は落ちます。
これは代表5選にはありませんが別の「成形地補正」にあたります。

日照やセキュリティ・防災・通風・見晴らしなどは、この道路幅員・間口に影響を受けます。

あとは、接道している道路が私道なのか公道なのかということも査定に影響します。
私道だと少し低く評価されることが多いです。
理由は私道だとアスファルトの維持管理・水道などのインフラも行政ではなく個人で負担する可能性があるので、価格が下がるファクターになります。

❹高低差 

昨今、擁壁の崩壊などで住宅が崩れたり、大雨による地滑りで多大な被害を街に与えた映像などを視聴された方も多いと思います。
このような事故もあり建築物を建築する際の行政手続きにおいて、敷地と道路に高低差がある場合、その高低差の土留めをする擁壁の状態の安全性が重視されています。

また物件敷地のみならず、物件敷地が接する隣地にも土留め擁壁がある場合は、その安全性も点検されます。

20年ほど前、ひな壇の分譲地は、眺めが良い!陽当たりが良い!風通しが良い! と好評でした。

しかし今は頻発する事故を受けて行政対応も厳しくなり、もし擁壁工事を個人宅にて施工すると、施工費は一千万円にもなることがあります。

建築確認申請における安全性が低い擁壁がある敷地や、同様の隣地擁壁が敷地に接している場合
この敷地高低差を取り巻く擁壁については大きなマイナス補正を受けると思われます。

❺規模(敷地の大きさ)

土地が大きければ評価も高まる?「土地取引の市場性」に注目しましょう。

一般住宅地において、土地が大きければ大きいほど査定価格は比例して高くなるでしょうか? 
答えは「高くならない」です。

規模のリスクとして、広くなると需要が減るので下降要因になります。
こう考えたらわかりやすいです。

「広い土地を買える人と狭い土地が買える人はどっちが多い?」という話で、広い土地が買える人は限られていますよね。
総額自体は高いし、必要性が低くなる贅沢な敷地になります。
むしろ、狭くなると単価が上がっていくんです!

つまり、価格の保持要因・上昇要因は需給バランス、取引量というか、需要の量なのです。

まとめ

以上、中古戸建・土地はどうやって査定するの?について見てきました。
建物は一律の計算式で査定。土地は比較値との補正(代表的な5項目は以下のリスト)によって算定される。

①最寄り駅からの距離

②建ぺい率・容積率 ※建物建設時に影響が出る建築基準法など条件比較

③道路幅員・間口 
※間口とは接する道路に対して該当敷地が面している距離

④高低差 ※隣地や道路との筆界高低差の有無

⑤規模(敷地の大きさ)


ということがご理解頂けたのではないでしょうか。

ですがこれは一般的な机上査定や昨今流行りのAI査定の仕組みの解説、一般的な査定手順でしかありません。

「実際の査定」や「売出し価格」の設定などは、建物の健康状態を筆頭に、仕様や建物のデザイン力、ニーズが望めるプラン、施工会社のブランドなど他方面を考慮して繊細に価格設定を行います。

机上査定やAI査定の結果で売出し価格を判断するのではなく、仲介業のプロに実際現地を内見してもらい正式な査定評価を受けるようにしましょう。