一級建築士の北野です。
僕は間取りを作成するとき、廊下の面積をなるべく減らすようにしています。
貧乏性なので、部屋と部屋をつなぐ通路にお金を出すのはどうしても『もったいない』と思ってしまうからです。
理想は、古民家でよくある、田の字型の間取りです。
その多くは廊下がなく、部屋と部屋が文字通り田の字型に配置されます。
隣接する部屋同士は建具で仕切られ、直接行き来したり一体的に利用することもできます。
ただ、現代では2階建て・3階建ての都市型の住宅が一般的となっているため、田の字型の間取りを流用するのは正直難しくなっているのが現状です。
そこで今回は、廊下を極力減らす間取りの工夫をいくつか紹介できたらと思います。
廊下を通り土間に
特に細長い敷地では、玄関から奥の部屋へ行くための、暗く細長い廊下になりがちです。
この廊下の幅を少し広げて、玄関と一体になった通り土間とすることで、多用途に使える空間となります。
また、通り土間の奥に緑の木々が見えたりすると、明るく開放的な土間を演出することもできます。
廊下をウォークインクロゼットに
ウォークインクロゼットの中の通路部分は、廊下と同じように物を置いたりすることができません。
廊下の両サイドにハンガーパイプを吊るせば、廊下もウォークインクロゼットに変わるのです。
個別の収納より有効にスペースを活用でき、ファミリークロゼットのような大容量の収納スペースを確保することもできます。
廊下をスタディコーナーに
廊下にデスクカウンターを設置するだけで、スタディコーナーに変わります。
単なる通路としての廊下が、お子様が勉強をしたり、家族全員で使える場所になります。
また子供部屋を必要以上に大きく確保する必要もなくなります。
一方で、日本建築の風情ある渡り廊下、美術館などは廊下に絵を展示してギャラリー空間として利用したりと、廊下にも魅力的な要素がたくさんあります。
また、内装や間接照明の工夫で、雰囲気ある空間を演出することもできます。
間取りの中では普段脚光を浴びることがない「廊下」ですが、スペースを有効利用したり演出したりすることで、家全体のイメージにも大きく影響してきます。
部屋と部屋をつなぐ通路以外の可能性について、ぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか?