このブログは業界歴30年の宅地建物取引士が執筆しています。
不動産を売却する時には、不動産屋(仲介業者)に依頼するのが一般的です。
そして不動産屋の斡旋により不動産売買が成立した際には、依頼者は仲介手数料を支払うことになります。
では、まずは不動産屋(仲介業者)とな何なのかご説明します。
Contents
◇不動産屋とは?
仲介サービスの提供
いわずもがな不動産取引のプロです。
不動産屋は不動産の広告活動に慣れています。
買いたい方、売りたい方の個人情報を、いろいろな媒体を通じて収集しています。
また、不動産会社間で利用するレインズ(国交省が管轄する一般非公開の不動産情報マーケット))を通じて情報公開(個人情報ではなく物件情報)する仕組みを持っており
各々の不動産屋が保有する見込顧客(売りたい人、買いたい人)の情報をレインズで、結合させる機能を利用しています。
つまり「仲介業者」とは、売りたい人、買いたい人の思いをとりついだり、まとめたりする不動産仲裁のプロと言えます。
宅建業法の倫理を提供
不動産売買にはさまざまな権利・義務が、売主側にも買主側にも備わっています。
これを個人間取引で進めると、一般法である民法にゆだねられることが多くなり、実は、かえって売主・買主双方のリスクを増やすことになりかねません。
不動産屋は、不動産取引に重きをおいた「宅地建物取引業法(宅建業法)」に基づいた取引の整理が得意です。
売主・買主双方にとって公正で、法で定めた倫理に基づき契約取引を担うのが国土交通省から免許を受け、宅建業法に基づき活動する不動産屋(仲介)となります。
つまり、売主と買主の公平公正な取引義務がある不動産屋に仲介を任せることで、安心安全な取引が実現できます。
第三者追認が容易な書面の提供
仲介会社は宅建業法に基づき業務を行い、取引の際には法に基づく契約書や重要事項説明書、そのほか書面を用意してくれます。
不動産屋が用意した書面は第三者(銀行・司法書士・行政など)も追認が容易なため、正しいエビデンス(証憑)として関係者が取り扱うことが出来ます。
逆に言うと、この書面が用意できない不動産は銀行の融資が受けられないなど、個人間取引での制約が生じるケースもあります。
◇仲介手数料とは
このような仲介業務を依頼して、不動産を売ったり買ったりした場合、不動産屋には成功報酬として仲介手数料を支払うことになります。
この成功報酬を「仲介手数料」あるいは「媒介手数料」といいます。
この手数料は、売買代金に応じて上限が決められています。
不動産を無事に売却することができたなら、その価格に応じた仲介手数料が発生するということを念頭に、不動産売却を計画するようにしましょう。
不動産売買の通常の過程で発生する以下の業務費用については、仲介手数料に含まれています。
・広告費用(WEB広告・紙広告)
・物件案内
・契約条件の交渉
・契約書類の作成
・融資手続きのサポート
・住宅融資完済の手続きサポート
・引渡しの立ち合い
・移転登記のサポート
通常業務に含まれるものを別途請求されても支払う必要はありませんが、測量費や遠方取引のための出張費などは実費負担分を求められる場合があります。
また、仲介手数料はあくまでも成功報酬ですので、売買が成立しなければ支払う必要はありません。
契約が無効や取り消しになったとき(違約解除を除く)も同様に、不動産屋は仲介手数料を請求できないということも覚えておきましょう。
仲介手数料の支払い時期
仲介手数料は不動産売買が成立して初めて発生します。
また、仲介手数料は売買価格に応じて決まるため、一般的には契約時に半分、引渡しの際に残り半分を支払います。
不動産屋によっては物件引渡しの際に一括で支払いを求められる場合もあります。
支払い方法は、銀行振込み、もしくは現金で
クレジット払い、PayPayなど電子マネーは仲介会社の殆どが未対応です。
仲介会社により規定もありますので確認が必要です。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料は宅建業法で上限が決まっています。
売買代金によって異なりますが、不当な金額を請求されてしまうリスクを避けるためにも、自分自身で把握しておくことも大切です。
なお仲介手数料の計算は、売却価格を
「200万円以下の部分」
「200を越えた400万円以下の部分」
「400万円を超える部分」
の3つに分割する必要があります。
例えば3,000万円で売却できた場合
200万円分を5%+消費税
200万円~400万円となる200万円部分を4%+消費税
残りの2,600万円部分を3%+消費税で計算して合算します。
2018年の法令改正
400万円以下の低廉な空家等の土地または建物を売る場合は、仲介手数料が最大18万円までに変更になりました。これは、とくに地方の空き家の流通活性化を目的としており、調査費や出張費がかさむ割に物件価格が低く不動産会社が赤字になってしまうことがあるため、取引に消極的になってしまうケースを解消するための特例です。たとえば200万の空き家を売却した場合、改正前は10万円プラス消費税が仲介手数料の上限でしたが、改正後は18万円プラス消費税が上限となります。この特例は買主には当てはまらず、従来通りの規定となります。
仲介手数料の値引きについて
売却する土地や家が、たとえば3,000万円で売れた場合、税込だと100万円以上もの金額が仲介手数料の支払いが必要となります。
ですが「仲介会社は、この金額を越えて請求してはいけない」という報酬規程であって、この金額を超えない範囲内であれば、各仲介会社が自由に設定できます。
ですので状況に応じ、手数料は不動産会社とお客様との話し合いによって決めることはできます。
つまり値引きの交渉ができる場合もあります。
仲介会社は安さで選ばない
仲介手数料は上限以下であれば、仲介会社と相談して決めることは出来ます。
無料!など、かなり大胆な設定で広告する不動産屋もあります。
しかし、安さをだけを重視して仲介業者を選ぶことは注意が必要です。
◇こんな会社は要注意
✔売却物件を預かる際に、広告など販売活動をするつもりがない会社
✔レインズに掲載しない会社
✔調査代やローン手続きサポートに別途料金がかかる
✔担当者の話が不明瞭(→後々トラブルにつながる)
このあたりは十分注意してください。
要注意の不動産屋を避けるためにも、以下のチェックポイントは不動産屋に依頼する際には確認しましょう。
✔ポイント
✔売買価格の根拠説明は、口頭だけでなく書面やデータ提供してくれますか?
✔質問に対する適切な回答、誠意ある対応ですか?
✔他の仲介会社にはない項目の諸費用が明細に上がっている場合、内容は確認しましたか?
✔住宅検査や保証設定の有無について確認していますか?
✔販売活動の内容は希望に沿っていますか?
総合判断が大切です。
仲介手数料の高い・安いよりも、仲介業者としての対応力・販売活動の内容など、信頼できる不動産会社を選ぶことが、不動産取引を成功させる秘訣となります。
仲介会社とは直接話す
複数業者に見積りを依頼し、営業担当者の話を直接聞いたり、家を直接見てもらって意見を聞いたり、税金の知識も吸収したりして、総合的に判断して仲介会社を選ぶようにしましょう。
「こことち」を始めた理由
改めまして、私は「こことち」を運営するBLOSSOMDESIGN株式会社の代表、中濱整啓です。
これまでの経歴を紹介しますと、20代~30代は年間5,500件程度の仲介を行う、いわゆる不動産屋さんのエリア母店長を歴任し
その後40代には、年間160億円ほどの住宅建設に携わる建築設計企業で、執行役員(本部長)を経験してきました。
不動産・建築業界に長らく身を置いてきましたが、業界の現状には大きな疑問を感じています。
それは業界の利益を優先した取引慣例、売上至上主義のビジネスモデルです。
「こことち」は、全員が納得し、双方の利益を最大化することを目指しています。
私が「こことち」を始めるにいたった経緯を読んでいただけますと幸いです。
不動産業界の現実
残念ながら大手・中小問わず、悪徳仲介業者が少なからず存在します。
彼らは自分たちの利益を追求するあまり、顧客が本来得ることができた利益を遵法で搾取しています。
搾取しているからこそ、手厚い表面的なサービスにより顧客は満足度は高く、問題は表面化し辛くなっています。
アメリカで見つけた理想
私は30代半ばに、米国・サンフランシスコへ研修の機会を得ました。
そこで、米国の不動産取引の慣習や現状に衝撃を受けました。
米国では、売主専門のエージェント(担当)と買主専門のそれが別々に存在し、各々が顧客の利益を最大化し、リスクを最小化するために動いていました。
売主と買主は利益相反する。
どちらかにとって得なことは相手にとって損失になりうる。
であるからこそ、売主のための専任担当、買主のための専任担当という明確な役割分担があり、公正な取引が実現されていたのです。
「売主・買主の双方から直接依頼を受けるなど考えられない」と当時米エージェントが答えていたのが忘れられません。
日本の不動産流通
ところが日本の不動産業界は、この双方からの直接依頼が「両手仲介」との呼称で、当然のごとくまかり通っています。
何度も言いますが不動産は本質的に、売主・買主が利益相反の関係です。
また今日の日本での仲介制度では売主と仲介会社も利益相反の関係になっています。
高く売りたい売主、安く買いたい買主。そして手数料を大きくしたい仲介会社。
このトライアングルの中で、売主と買主の要望実態を握っているのは仲介会社だけ。
そのため、不動産屋は手数料の最大化を一番重視しながら、売主さま・買主さまの双方にとっての妥結だけを狙った対応になってしまうことが少なくありません。
その結果、資本力のある企業が、広告宣伝費をかけ、ブランドを醸成して、安心感をもたせておいて、不動産取引の情報弱者である顧客に対して、遵法としながらも搾取することを商慣習としています。
日本には日本の法制度があり、慣習があるため、米国の制度はそのまま利用できません。
一時、民主党政権下では、この両手仲介を禁止にしようとするマニフェストが確かありましたが、いつのまにやらロビー活動によって消滅した記憶もあります。
こことち開発に至った想い
日本の法制度において、仲介会社は仲介手数料を多く得られる方法を優先して取引を操作しています。
この操作を回避するためには、いっそ売主・買主が直接出会えればよいのではないか。
ましてや今日のWEB・SNS・IT技術をもってすれば、コストも抑えて売主・買主が直接出会えるのではないか。
そこには仲介担当者の手助けはないかも知れない、自分で相手とコミュニケーションをとる面倒を感じるかも知れない。
ですが生み出される結果こそが、売主・買主双方が満足できる取引が実現できるのではないでしょうか。
正義感とかそんなものではなく
「自分が売主なら、買主なら、そんな手数料利益を優先する仲介制度は、手間がかかっても利用したくない。」
そんな想いから開発にいたりました。
「脱不動産屋」により、売りたい、買いたいの意思が直接WEB上で出会えて
相手が見つかったら、不動産取引のプロに、安全な取引のために適正な調査に入ってもらい、取引を成立させてもらえばよいのです。
誰もが納得できる不動産取引を
そんな想いから、私は新しいサービス「こことち」を立ち上げました。
「こことち」は、不動産仲介業者を介さずにお客様同士で直接不動産売買ができるプラットフォームです。
手数料の最大化を重視する仲介会社による斡旋対応を回避できれば、もしかすると数千万高く売れることも、倍の値段で売れることも、過去の経験から可能性が大いにあります。
またWEB・SNS・IT技術はコスト削減をもたらし損益分岐も下げ
取引手数料の削減も可能となります。
今ある取引を全て否定するつもりはありません。
顧客ファーストな想いで活動されている会社もたくさんあります。
ただ選択肢として、直接出会うのもありではないか?
既存の仲介制度を利用しながら、「こことち」でも探す。
そんな新たなマーケットを作ってみたいと思いました。
正解は人それぞれだと思います。
ですが「こことち」は、いままでになかった不動産取引の新しいカタチを実現します。
不動産の売買を考えた時には
ぜひ「こことち」にご登録ください。