不動産売主は「囲い込み」に注意 | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

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2024.02.21

不動産売主は「囲い込み」に注意

現在の不動産売却の仕組みは、一般的な仲介会社は、自社の利益(営業担当の利益)を優先させ、売主さまの利益が後回しになっていることが少なくありません。

それは売主さまから依頼を受けた仲介会社が、他の仲介会社による広告・紹介・案内を、理由をつけて拒む「囲い込み」です。ちなみに売主さまから仲介依頼を受けた不動産会社のことを業界では「物元(ぶつもと)」と言います。

その物元による「囲い込み」とは何なのか、実際どんなことが業界では起こっているのか、すこし長くなりますがお話しさせていただきます。

 ◇仲介の仕事

まず仲介とは、「両者の間に入って、とりついだり、まとめたりする」ことです。

つまりは不動産売買の相手方をみつける仕事でもあります。
例えば不動産を売りたい場合は買主を見つけるために、物元が不動産の”販売活動”を行います。

物元は実際どのように購入希望者を募るのか、基本的な販売活動の手法3つを見ていきましょう。

1)広告(WEB関連・紙面)

ホームページや不動産ポータルサイトへの掲載。新聞折込み広告・ポスティング広告などがあります。

2)「見込顧客」へご紹介

①過去来場の個人(法人)のお客様
②取引先の買取不動産会社
宅建業者・個人関わらず、自社の見込顧客へ情報提供を個別に行います。

3)レインズへの登録

全国にある全ての不動産業者ネットワークがレインズ(不動産流通機構)です。国土交通省が所管しています。このレインズを通じて、売主さまが依頼した売却不動産を全国の仲介業者間で公開していきます。(レインズについてはコチラのブログを)

 ◇起こっている問題

レインズ創設の目的として、一つの仲介会社で情報独占することなく業界全体で取引を成立させ、売主・買主双方の利益に帰する。なのですが、実情、一般的な不動産会社は、”売り手””買い手”の両方から仲介依頼と手数料を得ようとする”両手仲介”が念頭にあり、その過程で過度な「囲い込み(広告・紹介・案内をNGにする行為)」が起こっています。

囲い込みを疑われる「両手仲介比率」が業界ではどのよう推移しているのか、ご興味ある方は不動産研究所が2024年2月に公開したコチラの記事もご覧ください。

業界の問題を3つご紹介します

1)公開情報の問題

一般非公開のレインズ(不動産流通機構)は、宅建業法によって登録は義務づけられていますが、実のところ情報項目の義務規定が弱い実態があります。

実際にレインズ必須項目を見てみましょう。

ご覧頂いてわかるように、ほとんどが任意入力です。理由さえつければ殆どの項目は入力しなくても構いません。
レインズ上で情報量の少ない登録不動産に触れた「買手側の仲介会社」は、物件を判断できず、紹介が出来なくなります。

問題なのはその事実が一般非公開システムのために、売却の依頼者本人では気付けない点です。

・怠慢な物元。
・両手仲介を露骨に狙う物元。

誰もが知る大手仲介会社の物元の中にも、この傾向があります。
これが本当に情報公開と言えるのでしょうか。。

2)広告制限の問題

次は広告制限のハードルが出てきます。

一般的な不動産会社は、”売り手””買い手”の両方から仲介依頼を得ようとする”両手仲介”が常識なため、他社からの紹介を阻むことを目的に、他社が広告することを許可しない仲介会社が後を絶ちません。

広く公開すべき情報にも関わらず、「物元」が、自社以外の広告を禁止にします。

結果、物元が広告しなければ世間には情報が広まらない状況が生まれます。

3)商談への障壁

購入希望のお客様から「購入希望の意志」をもらい、その商談依頼を”売り手側”の仲介会社(物元)に行うと、ほんの数時間前には存在しなかった「商談」が急に入ってきて「お断りします」と跳ねのけられます。

確かに起こりうる事柄かもしれませんが、これが頻発するのが業界の常識。ほとんどの仲介担当者は、この「突然商談」を経験し、この現実と向き合い。嘘と判るようなときでもあきらめ。商慣習として受け入れています。

酷い事例
買い手側の仲介会社が、物元に対して、金5,000万の購入申込のお客様がいらっしゃると連絡を入れるのですが、物元は「商談中」と無下に断わります。
すると半月後には成約価格4,000万円で物元によってレインズ掲載されたことがあります。まさに両手仲介の弊害、極まれりです。

つまりは”売り手”の仲介会社が、”両手仲介(売り手と買い手の両方から仲介手数料を得るための活動)”を執拗に追求するあまり、売主さまの利益を見捨てている実態がここにあります。

 ◇利益相反

利益相反とは、ある行為によって一方が大きな利益を上げると、もう一方にとっては不利益になる行為を指します。

不動産は本質的に、売主・買主が利益相反の関係です。また今の仲介制度では売主と仲介会社も利益相反の関係になっています。

高く売りたい売主、安く買いたい買主。そして手数料を大きくしたい仲介会社。
この3者の中で、売主と買主の要望実態を握っているのは契約するまでは仲介会社だけ。そのため、仲介会社は手数料の最大化を一番重視しながら、売主さま・買主さまの双方にとっての妥結だけを狙った対応になってしまうことが少なくありません。

 ◇囲い込みを回避する

①売主自身も警戒する

両手仲介比率、囲い込み など検索すると、その実態が判ってきます。まずは、そのような評判の会社は企業の大小問わず関わらないようにすることです。
また、「囲い込み」の誘惑に仲介会社が惑わされないよう、売主自身の言葉で「囲い込みはしないでください」と担当者にくぎを刺すことも重要です。
そして、もし信頼してお任せしている仲介会社であっても、売主様自身が「囲い込み」を感じた場合は即時販売を中止すべきだと思います。
業界全般として、残念ながら「両手仲介こそ売上を伸ばす最善策」と喝破している企業が多い現実があります。

②登録情報のエビデンスを貰う

依頼した仲介会社がレインズに掲載したなら、簡易な登録証明だけでなく、実際にレインズ登録された内容をWEB画面で見せてもらうようにしましょう。そして登録された項目も自身で確認することも大切です。重複しますがレインズの必須項目だけでは不動産の内容・情報はマーケットには伝わりません。
売主自身で、任せている仲介会社が「囲い込みをしていないエビデンス」を手にしましょう

③情報公開に積極的な会社を選ぶ

売主さまが、そんな業界事情を知らずとも、積極的に、透明性を高める努力・両手仲介を自ら戒めている企業があります。

是非、そのような観点でも仲介会社を観察してみては如何でしょうか。

このような透明性が高い会社が、実は隠れた成約率の高い会社でもあります。

 ◇透明性の確保

わたしたちCoCoDA (ここだ)も長年仲介に携わり、疑問を持ち、あらたな仕組みによってより良いサービス提供を目指しています。

その一環として、両手取引の場合は売主さまの仲介手数料は半額にしています。

売主さまのメリットを大きくしたい。という趣旨もありますが、むしろ、仲介会社である私たち自身が両手取引で手数料が倍になる欲求・誘惑に惑わされぬよう、自制を促す仕組みだと考えています。

売主様の手数料を無料にしてしまうと、両手(売り手・買い手の両方の仲介を担う)であっても片手(売り手のみの仲介を担う)であっても手数料は変わりません。そうなると物元は不動産業界全体で成約に向けた情報公開はするものの、物元自身が積極的に売主様の不動産の成約に向けた努力を阻害しかねません。

また正規手数料のままだと、両手の魅力が大きすぎて両手の誘惑に負けてしまっているのが現状の業界の姿です。

CoCoDAの仲介

当社では、同業の仲介会社に対して、広告・紹介・案内をいろいろな手段でやりずらい環境を構築して「囲い込みをして両手仲介をしたい」という欲求や誘惑を、両手仲介の場合は「売主手数料半額」と仕組み化することで、この欲求を極力排除しました。バリアフリーで情報がよどみなく流通する仕組みと、自社が積極的に努力をしたくなる体制を構築しています。