|売主は「囲い込み」に注意! | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

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2024.02.21

|売主は「囲い込み」に注意!

このブログは業界歴30年の宅地建物取引士が執筆しています。

現在の不動産売却の仕組みでは、一般的な不動産屋(仲介会社)は自社の利益(営業担当の利益)を優先させ、売主さまの利益が後回しになっていることが少なくありません。

それは売主さまから依頼を受けた不動産屋が、他の不動産屋による広告・紹介・案内を拒む「囲い込み」が原因です。
ちなみに売主さまから仲介依頼を受けた不動産屋のことを業界では「物元(ぶつもと)」と言います。

その物元による「囲い込み」とは何なのか、実際どんなことが業界では起こっているのか、すこし長くなりますがお話しさせていただきます。

◇仲介の仕事

仲介とは、「両者の間に入って、とりついだり、まとめたりする」ことです。

つまりは不動産売買の相手方をみつける仕事です。
買主を見つけるために、もちろん物元が不動産の”販売活動”を行いますが、不動産業界はその相手を見つける際は、不動産業界全体で探すよう義務付けられています。

物元(売主から依頼を受けた不動産屋)が購入希望者を募る方法は3つあります

1)広告(WEB関連・紙面)

ホームページ不動産ポータルサイトへの掲載。新聞折込み広告ポスティング広告などがあります。

2)「見込顧客」へご紹介

①過去来場の個人(法人)のお客様
 宅建業者・個人関わらず、営業担当が購入見込の方へ情報提供を行います。


②取引先の買取不動産会社
 最近では宅建業者を限定とした競争入札を導入している会社もあります。

3)レインズへの登録

全国の不動産業者ネットワークがレインズ(不動産流通機構)です。
国土交通省が所管しています。
このレインズを通じて、売主さまが依頼した売却不動産を物元が窓口となって全国の仲介業者間へ公開していきます。(レインズについてはコチラのブログを)

◇起こっている問題

レインズの目的には、「一つの仲介会社で情報独占することなく業界全体で取引を成立させ、売主・買主双方の利益に帰する。」があります。

しかし実情、一般的な不動産会社は売り手・買い手の両方から仲介依頼と手数料を得ようとする「両手仲介」を求めて、その過程で過度な「囲い込み(広告・紹介・案内をNGにする行為)」が起こっています。

囲い込みを疑われる「両手仲介」が業界ではどのよう推移しているのか、ご興味ある方は不動産研究所が2024年2月に公開したコチラの記事もご覧ください。

それでは代表的な「囲い込みの手法」を3つご紹介します

1)公開情報の問題

レインズ(不動産流通機構)は一般の買主には非公開となっています。
そして法律によってレインズへの登録が基本義務づけられていますが、実のところ”必須となる情報の入力項目が少ない”実態があります。

実際にレインズ必須項目を見てみましょう。

表からわかるように、ほとんどが任意入力です。
理由さえつければ、ほとんどの項目は入力しなくても構いません。
レインズ上で情報量の少ない登録不動産を、「買手側の仲介会社」は物件の詳細を判断できず、紹介が出来なくなります。

そして問題なのはその事実が一般非公開システムのために、売却の依頼者本人では気付けない点です。

怠慢両手仲介を露骨に狙う。誰もが知る大手仲介会社の物元の中にも、この傾向があります。
これが本当に情報公開と言えるのでしょうか。。

2)広告制限の問題

次は広告制限のハードルです。

一般的な不動産会社は、売り手・買い手の両方から仲介依頼を得ようとする「両手仲介」が常識なため、他社からの紹介を阻むことを目的に、他社が広告することを許可しない仲介会社が後を絶ちません

広く公開すべき情報にも関わらず、「物元」が、自社以外の広告の一切を禁止にします。

結果、世間には売物件情報が広まらない状況が生まれます。

3)商談への障壁

購入者と面談している不動産屋さんが、購入希望のお客様から「購入希望の意志」をもらい、その商談依頼を”売り手側”の仲介会社(物元)に行うと、『突然「商談」が急に入ったので「お断りします」と物元から断られます

確かに起こりうることかもしれませんが、この「突然商談」が頻発するのが業界の常識

ほとんどの仲介担当者は、この「突然商談」を経験し、嘘とわかるようなときでもあきらめて、商慣習として受け入れています。

実際にあった経験談


買い手側の仲介会社が、物元に対して、「うちのお客様が、5,000万円の購入申込をしたい」と連絡を入れるのですが、物元は「商談中なので無理です」と無下に断わります。

たまたま、私が取引のある買取専門業者が4,000万円で購入した!との情報をあとから得ました。

つまりは”売り手”の仲介会社が、”両手仲介(売り手と買い手の両方から仲介手数料を得るための活動)”を執拗に追求するあまり、売主さまの利益を見捨てている実態がここにあります。

◇利益相反

利益相反とは、ある行為によって一方が大きな利益を上げると、もう一方にとっては不利益になる行為を指します。

不動産は本質的に、売主・買主が利益相反の関係です。
また今の仲介制度では売主と仲介会社も利益相反の関係になっています。

高く売りたい売主、安く買いたい買主。
そして手数料を大きくしたい仲介会社。

このトライアングルの中で、売主と買主の要望実態を握っているのは契約するまでは仲介会社だけ。
そのため、不動産屋は手数料の最大化を一番重視しながら、売主さま・買主さまの双方にとっての妥結だけを狙った対応になってしまうことが少なくありません。


◇囲い込みを回避するためには

①売主自身も警戒する

両手仲介比率、囲い込み など検索して情報収集してください。

その実態が判ってきます。

怪しまれる評判の会社は企業規模の大小問わず存在するので、関わらないようにすることです。

また、「囲い込み」の誘惑に仲介会社が惑わされないよう、売主自身の言葉で「囲い込みはしないでください」と担当者にくぎを刺すことも重要です。

そして、もし信頼してお任せしている仲介会社であっても、売主様自身が「囲い込み」を感じた場合は即時販売を中止すべきだと思います。

業界全般として、残念ながら「両手仲介こそ売上を伸ばす最善策」としている企業が多い現実があります。

②登録情報のエビデンスを貰う

依頼した不動産屋がレインズに掲載したなら、簡易な登録証明だけでなく、実際にレインズ登録された内容をWEB画面で見せてもらうようにしましょう。
そして登録された項目も自身で確認することも大切です。
重複しますがレインズの必須項目だけでは不動産の内容・情報はマーケットには伝わりません。
売主自身で、任せている不動産屋が「囲い込みをしていないエビデンス(証拠)」を手にしましょう

③情報公開に積極的な会社を選ぶ

売主さまが、そんな業界事情を知らずとも、積極的に、透明性を高める努力・両手仲介を自ら戒めている企業があります。

是非、そのような観点でも仲介会社を観察してみては如何でしょうか。

このような透明性が高い会社が、実は隠れた成約率の高い会社でもあります。

◇透明性の確保

わたしたちCoCoDA (ここだ)も長年仲介に携わり、疑問を持ち、あらたな仕組みによってより良いサービス提供を目指しています。

その一環として、両手取引の場合は売主さまの仲介手数料は半額にしています。

売主さまのメリットを大きくしたい。という趣旨もありますが、むしろ、不動産屋である私たち自身が両手取引で手数料が倍になる欲求・誘惑に惑わされぬよう、自制を促す仕組みだと考えています。

◇仲介料0円はどうなの?

売主様の手数料が0円!無料です!と広告する会社も最近あります。
正直私は怖いです。
なぜなら無料にしてしまうと、片手(売り手のみの仲介を担う)では不動産屋はコスト倒れになります。
広告宣伝や人件費はそれなりにかかっています。
そうなると、0円で請け負った物元は買主は必ず自社で見つけるしかありません。
結果的に囲い込みするしかありません。つまり不動産業界全体で買主を探すことが出来なくなります。

「こことち」を始めた理由

改めまして、私は「こことち」を運営するBLOSSOMDESIGN株式会社の代表、中濱整啓です。
これまでの経歴を紹介しますと、20代~30代は年間5,500件程度の仲介を行う、いわゆる不動産屋さんのエリア母店長を歴任し、その後40代には、年間160億円ほどの住宅建設に携わる建築設計企業で、執行役員(本部長)を経験してきました。

不動産・建築業界に長らく身を置いてきましたが、業界の現状には大きな疑問を感じています。
それは業界の利益を優先した取引慣例、売上至上主義のビジネスモデルです。

「こことち」は、全員が納得し、双方の利益を最大化することを目指しています
私が「こことち」を始めるにいたった経緯を読んでいただけますと幸いです。

不動産業界の現実

残念ながら大手・中小問わず、悪徳仲介業者が少なからず存在します。
彼らは自分たちの利益を追求するあまり、顧客が本来得ることができた利益を遵法で搾取しています。搾取しているからこそ、手厚い表面的なサービスにより顧客は満足度は高く、問題は表面化し辛くなっています。

アメリカで見つけた理想

私は30代半ばに、米国・サンフランシスコへ研修の機会を得ました。
そこで、米国の不動産取引の慣習や現状に衝撃を受けました。

米国では、売主専門のエージェント(担当)と買主専門のそれが別々に存在し、各々が顧客の利益を最大化し、リスクを最小化するために動いていました。


売主と買主は利益相反する。
どちらかにとって得なことは相手にとって損失になりうる。であるからこそ、売主のための専任担当、買主のための専任担当という明確な役割分担があり、公正な取引が実現されていたのです。

「売主・買主の双方から直接依頼を受けるなど考えられない」と当時米エージェントが答えていたのが忘れられません。

日本の不動産流通

ところが日本の不動産業界は、この双方からの直接依頼が「両手仲介」との呼称で、当然のごとくまかり通っています。
何度も言いますが不動産は本質的に、売主・買主が利益相反の関係です。
また今日の日本での仲介制度では売主と仲介会社も利益相反の関係になっています。

高く売りたい売主、安く買いたい買主。そして手数料を大きくしたい仲介会社。
このトライアングルの中で、売主と買主の要望実態を握っているのは仲介会社だけ。
そのため、不動産屋は手数料の最大化を一番重視しながら、売主さま・買主さまの双方にとっての妥結だけを狙った対応になってしまうことが少なくありません。

その結果、資本力のある企業が、広告宣伝費をかけ、ブランドを醸成して、安心感をもたせておいて、不動産取引の情報弱者である顧客に対して、遵法としながらも搾取することを商慣習としています。

日本には日本の法制度があり、慣習があるため、米国の制度はそのまま利用できません。
一時、民主党政権下では、この両手仲介を禁止にしようとするマニフェストが確かありましたが、いつのまにやらロビー活動によって消滅した記憶もあります。

こことち開発に至った想い

日本の法制度において、仲介会社は仲介手数料を多く得られる方法を優先して取引を操作しています。

この操作を回避するためには、いっそ売主・買主が直接出会えればよいのではないか。
ましてや今日のWEB・SNS・IT技術をもってすれば、コストも抑えて売主・買主が直接出会えるのではないか。


そこには仲介担当者の手助けはないかも知れない、自分で相手とコミュニケーションをとる面倒を感じるかも知れない。
ですが生み出される結果こそが、売主・買主双方が満足できる取引が実現できるのではないでしょうか。


正義感とかそんなものではなく、「自分が売主なら、買主なら、そんな手数料利益を優先する仲介制度は、手間がかかっても利用したくない。」
そんな想いから開発にいたりました。

「脱不動産屋」により、売りたい、買いたいの意思が直接WEB上で出会えて、相手が見つかったら、不動産取引のプロに、安全な取引のために適正な調査に入ってもらい、取引を成立させてもらえばよいのです。

誰もが納得できる不動産取引を

そんな想いから、私は新しいサービス「こことち」を立ち上げました。
「こことち」は、不動産仲介業者を介さずにお客様同士で直接不動産売買ができるプラットフォームです。
手数料の最大化を重視する仲介会社による斡旋対応を回避できれば、もしかすると数千万高く売れることも、倍の値段で売れることも、過去の経験から可能性が大いにあります。

またWEB・SNS・IT技術はコスト削減をもたらし損益分岐も下げ、取引手数料の削減も可能となります。

今ある取引を全て否定するつもりはありません。
顧客ファーストな想いで活動されている会社もたくさんあります。
ただ選択肢として、直接出会うのもありではないか? 
既存の仲介制度を利用しながら、「こことち」でも探す
そんな新たなマーケットを作ってみたいと思いました。

正解は人それぞれだと思います。
ですが「こことち」は、いままでになかった不動産取引の新しいカタチを実現します。

不動産の売買を考えた時には
ぜひ「こことち」にご登録ください