みなし取得費5%ルールとは? | CoCoDA – BLOSSOM DESIGN-

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2023.07.19

みなし取得費5%ルールとは?

不動産を譲渡して利益が出た場合、支払う税のことを不動産「譲渡所得税」といいます。


譲渡益に対する「不動産譲渡所得税」は、「減価償却」という会計上の計算も入ってくるので、少し理解がしづららいです。理解せずに進めると、1年以上も間を空けてから数百~千万単位の納税に気づき、その時には「売却で得たお金は使ってしまった💦 納税できない💦」。といった場面すら想定されます。「譲渡所得税」「減価償却」に関して以下のブログを参考になさってください。

今回は、そんな「譲渡所得税」のややこしい計算の際に、そもそも「購入した金額(取得費)が判らない💦」といった方のために、みなし取得費の「5%ルール」を説明します。
また取得金額がわからないときの対処方法も、共有したいと思います。

取得経費とは

そもそも取得費、購入代金を計上するためには、購入時の領収書や請求書、通帳のコピーなど実際の出費を説明できるものが必要となります。


数年前に買った住宅であれば、エビデンス(客観的に証明できる資料)もありそうですが、時折、購入時の売買契約書や領収書、ま~ったく、何も持っていらっしゃらないケースに遭遇します。

・現金で半世紀前に購入、当時の通帳や領収書を保管していない。
・換地処分で得た住宅地、親がマイホームを建設、その後相続発生。
・両親が購入した住宅 相続を経て売却する場合。

こんなケースだと取得価格がわからない場合があります。


購入代金はいくらだったのか、住宅を買うためにどのような出費があったのか、記録が残っていないケースもあるでしょう。
「たぶん1,000万円で購入した記憶がある!!」 その記憶では税務署は納得しません。


残念ながらエビデンス(客観的に証明できる資料)を用意できない場合は、取得費(購入代金)になりません。

売却価格の5%ルール

購入代金(取得費)・購入費用(取得経費)がわからない場合は、売却価格の5%を取得費(取得経費含む)として申告することになります。
しかし、あまりにも少額になってしまうため、ほとんど譲渡所得が減らせないのが問題です。

今回6000万円で売却に至った ”30年前に購入した両親の家” の取得額(購入代金+購入経費)が300万円(6000万×5%)だった! というのは通常考えにくい状況です。


が、その土地を買った時の価格を証明できなければ、「みなし取得費」として5%の300万円で計上するほかありません。

購入時のエビデンスは保管する

以上のように、将来売却が発生した際には、購入時のエビデンス(客観的に証明できる資料)がなければ乱暴ですが5%でしか計算してもらえません。
しかも取得経費含めて5%です。


1990年前後には不動産バブルもあり、随分不動産が値上がっている時代がありました。
現在の価格より随分と高い値段で購入してしまったことを悔やんで、思わず、当時の契約書など処分してしまうと、売却する今となって、思わぬ譲渡所得税に悩まされる羽目に陥り2重苦を味わうこととなります。
また、それを相続したご子息は、不必要な多額の税金を払う忌々しき事態になります。

5%ルールを回避するための方法

① パンフレットを探す
② 事業主に問い合わせる
③ 通帳を探す
④ 売主(個人)にお願いしてみる
⑤ 3,000万控除を利用する

今となって、購入時のエビデンス(客観的に証明できる資料)がなければ購入諸費用も入れて5%でしか計算してもらえません。
なんとかならないか、その方法をいくつかご紹介します。

① パンフレットを探す

購入当時のパンフレットには価格表が備わっていることもあります。
分譲地であれば分譲宅地価格を探しましょう。
マンションンであれば価格表を探してみましょう。
ご自分が無くても、ご近所や、管理組合、管理会社が保管していることもあります。

② 事業主に問い合わせる

もし事業主が判るのなら、事業主(会社)に連絡してみましょう。
宅建業者の契約書保存期間は確か5年です。
従って適格な売買価格は無理でも、当時の広告やパンフレットなど保存している可能性は高いです。

③ 通帳を探す

昔の通帳を処分せずに溜めていく方もいらっしゃいます。

④ 売主(個人)にお願いしてみる

もし中古戸建・中古マンション・土地を個人の方から購入したのであれば、相手様が保存している事があります。
一度確認してみるとよいでしょう。

⑤ 3,000万控除を利用する

売却益に対する優遇税制です。
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(「3千万控除」という。)が利用可能であれば、購入所の契約書・領収書がなくても、そもそも売却益に税金が発生しない場合もあります。

①②(パンフレットを探す・事業主から情報を得る)は契約書ほど効力はないのですが、購入した時期と、分譲時のタイミングが合致しておれば、およその取得価格が客観的な資料で示すことが出来ます。


とはいえ、値引きの有無など実際の金額まで特定が難しい事もあり、必ずしもエビデンスとして税務署が認めてくれるかは判りません。
私の経験では「それで証明できた!」とおっしゃった方もいらっしゃいました。

また③(資金の移動が確認できる通帳)はあると十分なエビデンスですが、あまりに古いと残っていないケースも多いですよね。


④(購入した際の売主から入手)も十分なエビデンスです。
しかし相手様も相続・転居があったりで、書類は処分されているケースも多いです。
私の経験では30年ほど前の売買で大切に保管されていたケースがありました。登記簿謄本から売主をたどってみましょう。

⑤については別のブログを参考にしてください。詳しく説明しています。

5%ルールを適用されないために

もし、まだ売却のタイミングではなく、しっかりと購入時の書類が確認できたのであれば、権利書と合わせて「大切な書類」として第三者から見てもわかるように、購入時契約書・領収書は保存してください。
よくある紛失原因は、「転居時」「相続時」に処分されてしまうケースです。

また、所有されている間に支払った不動産がらみの様々な出費(改装・立退き・分筆・修理・測量費など)も、同様に経費に算入できる事もあります。
これらも契約書類・領収書と同じ場所に固めて保管するよう心掛けてください。
このあたりは紛失されている方がかなり多いので!